82年のクィーンは熱かった

shiropp2005-01-28

 何を隠そうクイーンは、僕が行った初めてのロックコンサートでした。1979年4月、日本武道館。ちょうど「Jazz」が最新アルバムだったころ、「Live Killers」と同じ時期のセットでした。初めてだったためか、今でも鮮明に憶えています。
 今でも言われることですが、あの頃のクイーンの人気は、特に女性の間ですさまじく、そのためかあの独特のキャラクターのためか、男性の「本格的ロックファン」からは嫌われていました。ゼップやパープル、エアロやピストルズとかと比べられて(たまにブルースとかサザンロックとかのファンもいたな)バカにされてましたね。ぼくもなんとなくそんな発言したりしてましたここだけの話(笑)。でも好きでした。みんなも聴いてましたよ実は。そのころのある友人の言葉に「みんな尋ねられると『クイーンなんて』って言うけれど、実は最低1枚はクイーンのアルバム持ってるんだよな」というのがありましたが、そんな感じでしたね。標的にされやすい立ち位置と音楽性だけれど、抗いがたい魅力もある、素晴らしいバンド。彼らもやっぱり、他の偉大な先人と同じようにワン・アンド・オンリーの存在だったんですね。先日出た「Live Aid」のライブを観ていても、彼らのパフォーマンスは神がかり的で驚いてしまいます。

 「Queen On Fire at the Bowl」は昨年秋に、突然リリースされたライブアルバム。1982年に収録されたもので、クイーンのアルバム中ひときわ評価の低い「HotSpace」のツアーのものです。「HotSpace」は黒人音楽に大きくシフトした作品で、ファンの間では人気がなかったアルバムとして有名(?)です。なんとなく近年評価があがってきた感じ(とぼくは思っている)なんですけど、さて、このライブをきっかけに、遂に再評価の時代が来るような気がします。
 クイーンのライブはBBC録音の最初期のものを入れて他に4種類出ているのですが、もしかすると「On Fire」が一番のクオリティかもしれません。演奏も申し分ないし、録音も上々(「Live Killers」はここが辛い)、そしてなによりフレディ・マーキュリーの声の調子が一番いいのがこのアルバムです。選曲も、この時期のベストなもので、その後のライブでは取り上げられなくなった中期の作品が興味深いです。そして、「HotSpace」からの曲がすさまじく素晴らしい!特に「Staying Power」の出来は最高!もしもこのアルバムがリアルタイムで発表されていたら「HotSpace」の評価は変わっていたでしょう。いや、本当にそう思います。

 残念ながらフレディ亡き今、このマジックをもう一度体験することはできませんが(ポール・ロジャース?冗談はよせ)、こうして正式に発表された作品を聴いて、彼らのワン・アンド・オンリーの音楽を確かめられるのも、幸福の一つかもしれません。