枯渇しない才能

 というわけで聴き続けました、ポール・サイモン
 彼の全盛期というと、やっぱり70年代中期(「Still Crazy After All These Years」あたりまで)ということになるのでしょうか。正直僕も耳になじんだ曲というとそのへんに多いし。で、今回はシャッフル再生でいろんな時期の曲がランダムに流れるようにして聴いてみたんです(とはいっても最近のは何枚か欠けているんでちょっと不公平なんですが)。
 変わらない。何も変わっていない。彼のファンはもちろんご存じかと思いますが、音楽スタイルというかリズムに関しては、いやもうこの人本当にいろいろやってます。しかもそれがたいがい、いわゆる「ワールド・ミュージック」的なものだから、あらぬ批判まで受けてしまってまで。しかし、根底にあるものは、いつの時代も変わらぬポール・サイモンの音楽です。
 それほど知られていない最近の曲と昔の有名曲が(シャッフルで)並んで聞こえてきても、空気が変わらないのです。作品の質に、はなはだしい落差がないんですね。演奏や録音を含めたプロダクションワークも常に高いレベルです。そして驚くのは、その声。ほとんどまったく変化なしで、どの曲でも、昔からのあの澄んだ声が聞こえてきます。こんな活動がマイペースでできているなんて、もしかしたらとんでもないことなのかもしれません。改めてこの人の偉大な才能を認識しました。うん、そんなポールの活動がこれからも聴ける幸せに比べたら、コンピレーション出るたびに「Sounds Of Silence」が入ってることなんか物の数じゃない、よね!?You're the One