久しぶりに新人発掘

 今日は最近入手した、新人ミュージシャンのCDの感想を2枚ほど。
 ちょっと前、仕事の帰り道タワーレコードに寄ったときに店で流れていたBGM。始めは別に気にしていなかったんですが、そのうち妙に気持ちに触れてくる。まったく記憶にない音楽だったので誰が演奏しているかもわからないので、遂に店員さんをつかまえて「今流れているのは誰ですか?」と尋ねてしまいました。店員さんが教えてくれたのは、ユニオン・オブ・ナイブス(Union Of Knives)
という(知らない)バンドの「Violence & Birdsong」というアルバムでした。
 帰ってから調べてみると、グラスゴー出身のバンドで、まだ国内盤は出ていない様子。僕が買った上記のアルバムが、昨年出た1枚目のようです。
というわけで、素性がまったくわからないグループですが、不思議に惹かれる音楽です。ものすごく乱暴にたとえてしまうと、聴きやすいエレポップ。一聴して連想するのはレディオヘッドなどですが、彼らほどヘビーではなく、曲調はいくぶん暗めではありますが、全体の雰囲気は明るい感じがします。女性ボーカル(とても器楽的な使用法です)が乗ってくるところなど、どこか清々しい感じ。ジャケットも含めてムード的には統一感のあるユニットです。僕はエレポップ系はあんまり聴いていないのでどういう位置づけのグループかはわからないんですが、聴いていると心地いいです。
 毎日観るというわけではないですが、テレビ朝日系の「世界の車窓から」は好きな番組です。短い放送時間の中に美しい映像と抑制の効いたナレーションが魅力的な番組ですが、忘れていけないのは流れる音楽のセンス。特にジャンルを限定せず、その日の映像や場所を活かすような選曲がされていて、音楽ファンとしても楽しませてもらえています(たまに「!?」というような大ハズシっぽいときもありますが)。
で、先日、アメリカのどこだったか(すみません忘れちゃいました)の風景に乗って流れてきたのが、これまた聴いた事のない曲。番組中に出る曲名と演奏者テロップにも憶えがありません。でもこれもまた心に引っかかってきます。正確に言うと「これはけっこういいんじゃないか?」という勘が働いたんです。で、ファーストネームと曲名だけの記憶で検索した結果(ネット時代って、ほんとこういうときに便利ですね)、わかりました。
 レイ・ラモンターニュの「Till The Sun Turns Black」は、2004年にデビューしたこのシンガー・ソング・ライター2枚目のアルバム(昨年発表だそうです)。僕は知りませんでしたが、デビューアルバムも評価が高かったそうで、大がかりな宣伝などはしなかった中で、それなりのセールスを記録したんだそうです。僕が買ったのは国内盤だったのでこの人のプロフも掲載されていたんですが、ニューハンプシャー出身、けっこう複雑な半生を経てデビューした時はすでに31歳という、すでに「大物くささ」を感じさせる経歴ですね(笑)。実際音楽は魅力的です。ライナーで萩原健太氏が何組かのアーチストを引き合いに出してこの人を賞賛していますが、僕が最初に「世界の車窓から」で聴いたときにはその何人かのうち、ニック・ドレイクに近いものを連想しました。その時僕が聴いたのはこのアルバムの2曲目「Empty」ですが、その他の曲もとても落ち着いてはいながら決して枯れたフォーキーミュージックという表現ではすみません。フォーク的でもあり、ジャズっぽいところもあり、トラッド風でもありますが、それだけの作風ではなく、むしろ「これからどうなっていくかわからない不思議な魅力」が濃い音楽です。
 今日取り上げた2組のアーチストは、どちらも偶然知り、気に入ったものです。いつも聴いている(何年も聴いている)アーチストのようによく知っているわけではないのでわからないところ多く、それが謎として残り、かえって惹かれてしまいます。こういうのも音楽ファンの醍醐味のひとつですね。しかし、こういうことをやっていると、またもやお小遣いがピンチなわけで、、(この先は悲しいので自粛します(涙))。

Violence & Birdsong

Violence & Birdsong

ティル・ザ・サン・ターンズ・ブラック

ティル・ザ・サン・ターンズ・ブラック