「返せ!太陽を」をご存知ですか?

 今日、仕事からの帰りに駅を降りると、改札前のスペースでCDやビデオ、DVDが売っていました。よくありますよね、レンタル落ちのビデオや「なんとなく、オフィシャルじゃなさそうな」DVD(真偽知らず)をワゴンとかで売っているやつ。以前同じ場所で、ビートルズのコンサートDVDを買ったことがあります。今日も、バスの待ち時間があったのでちらっと眺めたんですが、おなじみの「ディズニー版権切れモノ」「500円名画」に混じって、レンタル落ちVHSビデオの中に面白いものを発見し、思わず買ってしまいました。
 それは、東宝の特撮映画の2本、「モスラ」と「ゴジラ対ヘドラ」です。「モスラ」の方は説明不要ですよね。昭和36年製作で、フランキー堺、小泉博、ジェリー伊藤志村喬平田昭彦ザ・ピーナッツなど出演陣も超豪華。特撮も当時の世界最高峰である円谷英二の特技、本編監督が本多猪四郎で、いうことなしの名作です。折れ曲がった東京タワーに絡み付く大きな繭から巨大な蛾が出てくるシーンや、ザ・ピーナッツ扮する小美人の唄う「モスラの歌」は、きっとみなさんもご記憶でしょう。
 もう1本の「ゴジラ対ヘドラ」は、ゴジラシリーズの異色作と言われている昭和46年の作品なんですがご存知でしょうか?実はこの作品は円谷英二死去の翌年の公開(監督は坂野義光)。客観的に見ると、「モスラ」のような名作の風格も、特撮や本編の風格や完成度もありません。ちょうど公害が社会的な問題になっていた時期の「トピカルもの」で、時代を反映して地下のゴーゴー喫茶のようなところでボディペインティングした女の子がサイケな曲に合わせて踊っていたりして、ちょっと毒々しいイメージの作品です。プロット自体は怪獣プロレスなんですが、宇宙からの生命体がヘドロと反応して実体化したヘドラは変形が自由で、空を飛んだりしてゴジラも苦戦しています(ほんとに。キングギドラ以外でこんなにゴジラを苦しめたのはヘドラくらいでは?というくらいです)。実はこれを書いている現在、こっちのビデオはまだ観ていないんですが、子どもの頃1回観たのを未だに鮮明に憶えていて、こうして書けるくらい印象的な作品でした。
 特に主題歌だった「返せ!太陽を」は、冒頭の歌詞が「水銀、コバルト、カドミウム、シアン、マンガン、オキシダン、、、」と延々公害の原因となった有毒物質の名前が繰り出すというものすごい曲で(子どものころ持っていたシングル盤では子ども向きのアレンジでしたが、今持っているVapから出ていたCDに収録されているもの、まるでジャニスがいたころのビッグ・ブラザーのような演奏です)、まだ幼かった僕にとっては、忘れる事のできないほど恐ろしい(いろんな意味で)歌、そして映画でした。今パッケージを見てみたら、特技に中野昭慶氏の名前がありました。「爆発の中野」との異名をとる氏の特技がどんなものだったか、そこまでは記憶がはっきりしていないので、今から見るのが楽しみです。
 VHSではありますが、1本1000円で入手できて個人的にはうれしいです。実は同じ売場に、同じようなレンタル落ちで「ゴジラ・ミニラ・ガバラ、オール怪獣大進撃」もあったんですよね。もちろん名作の類ではないですが、なんか惹かれます。値段も1000円だし。さあ、どうしよう(笑)?

ゴジラ対ヘドラ [DVD]

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