ジャケットが魅力の、先物買い

 先週の終わりくらいですが、仕事帰りにある中古盤屋さんに行きました。ちょっと前にブログで取り上げたスミザリーンズのアルバムがよかったので、他の作品も聴きたくなったからです。なんで中古盤屋さんに行ったかというと、新譜屋さん(変かな?つまり普通のレコ屋です)には最新作しか置いていなかったからです。結局そこで1枚発見。「A Date With Smithereens」をなんと525円という破格値で購入(聴いてみたら素晴らしいアルバムでした!)、得しちゃいました。
 ところで、スミザリーンズを探して「S」の棚を漁っていたとき、1枚のCDを見かけました。知らないアーチストの知らないアルバム。なんですが、なんとなく引っかかってくるものがあります。アーチスト名はスーザン・ケイグル(って読むのかな?Susan Cagleという綴りです)タイトルは「The Subway Recordings」。タイトルどおり、ジャケットは地下鉄の駅構内っぽい空間に、ストリートバンド風情のバンドを従えた、若くてキュートなアフリカ系アメリカ人女性(少女といってもいいかも)がギターを下げています。
 情報はこれだけ。なんですが、なにか引っかかる。中古盤なので価格も735円と安い。ちょっと考えた結果、これも買いました。もし外れでも、この値段ならあんまり悔しくないですから。帰宅して聴いてみたら、最初に聴こえてきたのは雑踏と電車の通る音。なんと本当に地下鉄の駅でのレコーディングでした。ほぼライヴレコーディングと思しき、ちょっとバランスの悪いバンドサウンドに乗って流れてくるのは、ものすごくポップで爽やかな歌声。曲調は明るいものが多く、ちょっと若い頃のキャロル・キングを思わせる声はとても伸びやか。ジャケットを見なかったらアフリカ系アメリカ人とは気づかないほど、いわゆる「ソウル」臭はありませんでした。基本的には本当に野外での演奏を録音したもので、バンドの演奏はごくシンプル。だからこそなのか、歌声によく合った感じです。演奏が終わると観ていた人らしき人たちの拍手も入っていて、時々入る駅の音との相乗効果で、とても開放的な雰囲気です。
 さて、この女性はどんなプロフィールなんでしょう?調べてみたら、なんとソニーから国内盤も出ている人でした。昨年末にはプロモーション来日もしたそうです。全然知りませんでした。なるほど、それなりの注目株なんですね。うんうん、それはわかります。でも、ちょっと辛口書いちゃいますと、全体的には魅力的ですが、バンドの演奏も曲調も、ものすごい個性というところまではいっていないようです。ストリートライヴでなら十分な演奏ですが、スタジオでこのまんまのレベルでは、ちょっと弱いかも知れないですね。曲の感じがどれも似ているというのも、長い活動をするつもりならもうひと頑張りしなければならないでしょう。まだまだ「最高!」というには早いかも知れません。
 でも、僕はなんだか惹かれます。ちょっと応援しようかと思っています。それは、なによりその明るさと爽やかさ、歌声が魅力的だからかも知れませんし、もしかして、このジャケットのせいかも知れません。実際のところ、僕は最終的にジャケットの雰囲気で購入を決めました。
 この作品のまま、爽やかでポップなままでビッグになってくれたらいいな。

ザ・サブウェイ・レコーディングズ

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