ポールの最新ライヴ音源(iTunes Store)評

 毎日暑いですねえ、という挨拶に飽き飽きしてらっしゃるかと思いますが、やっぱり今日も暑かったですね、関東は。僕の住んでいるところは昨日地元の花火大会があり、自宅から観られるのでみんなで観たんですが、風がまったくないので花火の煙が流れず、後半はちょっと観にくくなってしまうほどでした。当然気温も下がらず、今日は昼間、ドレミは庭にビニールプールを出して遊んでいました。コピは暑さ負けか1週間ほど調子が悪く、今日はかかりつけのドクターに診てもらいました。薬と薬用フードが出たんですが、いかんせん本人(?)に食欲がないので全然食べずじまい。季節の変わり目に体調を崩すのが恒例なので、いつものことかとは思いますが、心配は心配です。
 ときどき覗いているiTunes Store。最近ではジョンの楽曲配信が始まって、相変わらず盛り上がっているようです。僕は基本的には「音源はパッケージで欲しい」タイプの人間なので、CDで出ているものはCDで買うんですが、ボーナストラックなどの特典があるものについてはけっこう食指が動きます。実をいうとしばらく前にレビューを書いたホワイト・ストライプスの新譜はiTunes Storeで購入したものです。このときは予約特典でボートラがあったので、こっちを選びました。ディスクはまだ買っていません。ポール・マッカートニーの場合もボートラと「ついにポールも配信開始!」というエポックも含めて利用しました。ディスクも買ったので(しかも2枚も!そのへんの経緯はこちらのお間抜け日記を読んでください)、まあ「おあいこ」かなあ(?)。あのストア、丹念に見ていくとけっこう「独自企画」が多いので、僕のようなタイプの人間にもバリューがありそうです。
 7月にロンドンで、「iTuens Festival」というイベントがありました。つまりこれは、アップルが主催する音楽イベントで、英国のアーチストが日替わりで大勢出演したものでした。ここまでは事前に音楽雑誌などでニュースが報じられていましたので知っていました。出演アーチストのライヴがストアで発売されるかも、とニュースには書いてあり、まあ、そういうこともあるよなあ、くらいには思っていましたが、特に注意していたわけではありませんでした。
 ところが今日、偶然ストアにアクセスすると、「Paul McCartney iTunes Festival London」というのがあってびっくり!なんと上記のフェスにポールが出演して、その音源が配信されていたんです。ポールの出演は知っていたような気がしますが、まさか配信されていたとは知りませんでした。内容は6曲収録、22分ほどで900円。これは買わないわけにはいきません(ディスクで出るか不明ですし)。というわけでダウンロード毎度あり!
 内容ですが、なかなかのものでした。全体に各楽器やポールのボーカルは奇麗に録れていますが臨場感には若干乏しく、そういう部分では不満もありますが(でもLive 8よりは格段にいいです)、演奏そのものの質はとても高いです。6曲のうち既発表は1曲め「Coming Up」と4曲目の「Jet」で、残りは最新作からの収録でした。「Jet」は最近のポールのライヴでのものに近い感じでしたが、「Coming Up」は今までのものよりも少しテンポを落とした感じで、その分ぐっと重心を低めに持ってきたような印象になっていました。後半「Peter Gun」のリフが顔を出すところもあり、思わずにやりとしてしまいました。この2曲は今までライヴ盤で聴くことができたものなので、比較することで今回の演奏がちゃんと素晴らしいものである(配信の話題のみでしか聴けないようなものではない)ことはわかります。
 で、残りの4曲。配信されているのは2曲目「Only Mama Knows」3曲目「That Was Me」5曲目「Nod Your Head」6曲目「House Of Wax」です。最初はちょっと意外な選曲かなと思ったんですが、よく考えてみるとこれは全部「Memory Almost Full」で「バンドで録音した」ものでした。なるほど。そのためか、新曲名なのに演奏はこなれていていました。僕が大好きな「Only Mama Knows」は実に力強い演奏と歌で、これはぜひ来るべき来日公演ではオープニングにしてほしいと思ってしまいました。他の曲もアルバムで聴くことのできたクオリティをしっかり保っていて、今のポールの調子のよさがよくわかります。「House Of Wax」も堂々とした内容で、僕はちょっと「もしも『Wild Life』をコンサートで聴く機会があったら、こんなだろうか?」という感想を持ちました。ジャケット(っていうのかなあ?配信ページと、iPodで再生するときに表示される写真)は、ステージ上、逆光の中ベースを弾いているポールですが、これも実にいい感じ。65歳だなんて信じられない。僕がポールのコンサートを初めて観たのは17年前ですが、もしかしてそのころよりも若返っているかも??そんな気分にもなるほどです。
 それにしても、この日、いや、今回のツアーでは最新作から何曲も演奏しているようで、これはぜひぜひ、日本で観てみたいですね。頼みますよ、ポール!