デラニー・ブラムレットの訃報に思う
今日の新聞に、デラニー・ブラムレットの訃報が載っていました。69歳だったそうです。
デラニー・ブラムレットというと、あのデラニー&ボニーでロックの歴史にその名を刻んでいます。が、僕のような人間にとって、この人といえば、あのエリック・クラプトンの人生に大きな影響を与えたアーチストという認識です。まだ読みかけの「クラプトン自伝」でも、ブラインド・フェイス時代にデラニー&ボニーと出会って、自身の音楽と人生を深く考え直す様子が書かれています。有名なエピソードなのでここで繰り返して記述はしませんが、このときの人間同士の交流と、(エリックにとって)未知の音楽領域への前進が、結果的にどれほどの実りを結んだかを考えたとき、僕たちロックファンは、そうと気づかずにデラニーに大きな恩義があるんだと思わずにいられません。
そういえば伝説になった(アルバムにもなった)彼らのツアーには、我らがジョージ・ハリスンも同行していたんですよね。ジョージはそれがきっかけでスライド・ギターを弾くようになったといわれています。また、このときの交流がビートルズ解散後のジョージの人脈や音楽性に大きな作用を及ぼしていることを考えると、その影響力は計り知れないものだと思えます(ジョージは彼らのレコードをアップルから出そうとしたこともあったはず。実現しなかったけど)。実際の彼らの音楽は、鬼気迫る迫力とか論議の的になる問題作とかいう感じとは遠く、カラリと晴れ渡って楽しく聴けるものですが、その優しさ奥深さが、60年代イギリスの天才達にとって新しい扉になったというのは、音楽の持つ奇蹟と思えます。
今これを書きながらデラニー&ボニー&フレンズ名義の「Motel Shot」を聴いています。ものすごいメンツが参加していますが、自己主張全開!みたいな人はひとりもいなくて、みんな本当にリラックスしながら、でも非常に高い質の演奏をしています。これは例えばエリックの初めてのソロアルバム(デラニーがプロデュースしています)にも感じられる空気で、気持ちよく聴けると同時に奥も深い音楽が流れていきます。デラニーというひとは、いつもこういう空気を作れる人だったのかも知れませんね。謹んでご冥福をお祈りいたします。
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