今年もお世話になりました。

 今年2013年も残り僅か。今年も公私ともいろいろあり、音楽についてもいろいろありました。ザザザっと振り返ることで、今年の締めにしたいと思います。個人的なことばっかりで恐縮ですが、どうぞお付き合いください。
 今年は思いがけず、リンゴ・スターポール・マッカートニーの2人来日がありました。ポールのことは後述しますが、2月のリンゴ公演も忘れられないものになりました。トッド・ラングレンをはじめにしたオールスターズのチームワークもよく、リンゴらしい楽しいライヴでした。引き締まったスタイルに相変わらずの飄々としたアクション。やっぱりリンゴはスターでした。
 今年はサインをいただく機会が多かったです(個人比)。1月のパティ・スミス(書籍出版記念のトークショー)、3月のキース・エマーソン吉松隆還暦コンサート時に出待ちして)、7月の畠山美由紀(コンサート会場限定シングル「ハレルヤ」にしていただきました)、12月のレスリー・マッコーエン(BCRの英オリジナル盤にしてもらいました)、そして事情があって匿名ですがあるビッグネームにも。あくまで個人としてはということですが、こんなに所有できて嬉しいです。娘のドレミに自慢したら「パパ、ポールからはもらわなかったの?」だって。パパだって欲しいよ(笑)!
 アナログ復活しました。5月にアナログプレーヤーをAVアンプに繋いでから、いろいろ聴き直し始め、安い中古盤中心ですが新しく買ったりもしています。これがけっこう楽しいです。ブログには書きませんでしたがある中古バーゲンで購入した中古盤の中にアルバムに関連する新聞や雑誌の記事(アメリカのもの)が大量に入っていたなんて嬉しいサプライズもありました。前回の日記に書いたとおり、ブルーレイ・オーディオやハイレゾ音源など、高音質のものもいいですが、レコードをかけるという行為、所有することの蒐集家的喜びを味わえるアナログは、やはり捨てがたい魅力を持っています。ちなみに今年の個人的出物というとシングルの「シェルブールの雨傘」。なんてことはない中古シングルなんですが、あの長尺サントラのなかの一番「美味しい」ところだけ3分ほどを収録したもので、とても愛らしいです。あ、あとNegiccoの「アイドルばかり聴かないで」のシングルも。20年遅れてきた渋谷系(笑)。
 その、前回書いた「高音質モード」は継続中。クラシックのSACDや買っておいて聴いていなかったDVDオーディオなどを聴いています。そのなかでここ数日お気に入りなのがマイルス・デイヴィスの「Miles In Tokyo」。1964年初来日時のライヴ。ウェイン・ショーター参加直前のクインテットでサックスはサム・リヴァース。これがすごい。全員がブイブイ楽器を鳴らした快演。60年代のマイルスは全部ヤバイですが、これもものすごくヤバイ(語彙なくてすみません)。マイルスが「電化」しなかったらどんな音楽を奏でていたろう?無意味を承知でそういう問を発した時、このアルバムの音楽はその答えへの示唆を含んでいるような気がします。DSDマスタリングの音は素晴らしく、大音量で聴くとさらにヤバイ(笑)です。
 絶賛ポールロス中、「あまちゃん」どころじゃないです(笑)。多いんじゃないかな、そういう人(笑)。松村雄策さんもそんなこと書いてらっしゃいましたね。それほど11月のポール・マッカートニーのコンサートはすごいものでした。予想外想定外、本当にそういう感じでした。「ぴあ」「大人のロック」「ミュージックライフ」などの増刊も軒並み買いました。読めば思い出し、思い出しては読む、そしてポールロス(笑)。今までのポールの来日公演だってそれぞれ複数回行ったし、1990年の初来日時は最寄り駅に着く電車のアナウンスを聴いて体が震えるほど感激していたのに、今回はそれ以上の感動感激でした。不思議ですが事実です。年を越してもしばらくはポールを思い出し、ポールを聴き返す日が続きそうです。
 各方面絶賛中のストライプス。僕はイマイチ萌えません。本当に。音楽性も僕好みだし、お手本にしたアーチストも僕の好きな人達ばかりで、クオリティも高いと思います。彼らが真剣だということもわかります。でも…、あまり好きになれないんですよね。世間が盛り上がれば盛り上がるほど醒めてしまって。2ヶ月ほど前にロッキング・オンに掲載されてインタビューでビートルズザ・フー、ゼップやキンクスなどについて語っていましたが、まるでおじいちゃんの発言のような、意外性のない「優等生」ぶり。本当かなあ?なんか「お勉強しすぎ」の印象が拭えません。やっぱり今年の新人で売れているThe1975も引っかかってきません。こちらも「優等生ぶり」を強く感じてしまいます(The1975についてはインタビュー等をちゃんと読んだことはなく、あくまで音楽を聴いた印象ですが)。どちらのアーチストも、これからの活動がどれだけ独自のものにできるかが勝負なんじゃないかなあ、これが現時点での僕の評価です。ちなみにジェイク・バグはギリで大丈夫(笑)。あとライも好きです。以上新人コーナーでした(笑)。
 新譜いろいろ聴きました。ヴァンパイア・ウィークエンドも良かったしエミネム(最高!)も良かった。シガーロスは無論、ヤー・ヤー・ヤーズも好き(ジャケットはナニでしたがw)。ポールやボウイもマイブラもがんばってくれました(マイブラ、ライヴ観たかったなあ)。あんなにアナログアナログ言っているわりにCDもしっかり出すヴァン・ダイク・パークスは2枚も出してくれて、しかもどちらも良作でした(ジャケットも素敵!)。個人的に一番聴いたのはスコットとリバース。コラボユニットだし全曲日本語でJポップ志向だし、不思議といえば不思議ですが、とにかく爽快。日本語の歌詞も(若干カタい箇所もありますが)甘酸っぱくて青春的。演奏もわかりやすくストレートであると同時に(2人の個性である)「ひねり」も感じられて、僕は大好きです。ライヴ、観てみたいなあ。
 今年もちょこちょこコンサートに行きましたが、来年は年明け早々ブラーの武道館公演に行く予定です。3月にはいよいよローリング・ストーンズも(チケット取れました!)。他はまだ未定、クラプトンもベックもパープルも決心できていないんですが、どうしようかな?今年は(家庭の事情で)観られなかったサマソニ本編、来年は参加したいなあ。新人のライヴを体験したいなあ。この歳になると新しいアーチストをわざわざライヴハウスでチェックとかし辛いので、サマソニのような場で気の向くまま観てみたいです。もちろんベテランもスターも観たいんですけれどね(笑)。
 今年も多くの「偉人」が亡くなりました。ルー・リードもそのひとり。そしてほぼ同日、岩谷時子さんも亡くなりました。ルーは当然大好きなアーチストでしたので悲しかったですが、岩谷時子さんの訃報も僕にはとても悲しい事件でした。そして奇しくもお二人とも優れた詩人でありました。言葉は操り方ひとつで刃物にも怪物にもなり得る。でも詩人の言葉は、たとえ悲しみに満ち、不道徳な世界を描こうとも、必ず光となって未来を指し示してくれる。2人の偉大な詩人の死は、忘れられがちな、その真実を思い出させてくれました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
 人のつながり。今年はそれを実感した1年でした。今年はBCR関連で充実した年でしたが、実はファンイベントの中心になり、レスリー来日でも連日参加していた人と知り合いで、そのご縁でいろいろな出会いを持つことができました。また、今年僕は意識して「人前で演奏する」機会を設けていたんですが(仲間内のセッション大会ですが)誘ってくれ、声をかけてくれる人達のおかげで楽しい時間を過ごすことができました。今年はわけあって公生活にちょっとしたイレギュラー事象があったんですが、そういう時期を過ごしているとき、言葉を交わしあえる人がいてくれたことが大きな救いになりました。わざわざ僕の自宅を訪ねて遊んでくれた友人もいたし。音楽だけではなく、人の結びつきを強く感じる年でもありました。心から感謝しています。
 そんなわけで、今年もお世話になりました。音楽は鳴り続け、人生も続く。No Music No Lifeはタワーレコードのキャッチコピーですが、僕にとっても座右の銘です。この調子で来年もいければと思っています。どうぞよいお年を。来年もよろしくお願いいたします。

愛の讃歌~岩谷時子 作品集

愛の讃歌~岩谷時子 作品集

 追記:今年はあるところで、ビートルズの「Please Please Me」のゴールドパーロフォンを聴く機会がありました。ジャケや盤を眺めるだけではなく、実際に音を。本当に気持ちよかった。奏でられる音楽はどれも素晴らしく、音楽を聴くとき人間は祝福されているんだと心から実感しました。そういう1年でありました。