ちょっと高音質モード(笑)

 いよいよ年末。仕事納めを迎えた方も多いと思います。1年間お疲れ様でした。僕も今日から9連休。別にどこに行くわけでもないんですが、今日は比較的のんびりしていました。
 ところで今、急に「高音質」にハマっています。といってもオーディオ買い替えたとかそういう景気のいい話ではなく(笑)、スピーカを調整してみただけなんですが。自宅のAVアンプのスピーカ設定というのをいじっていて、サラウンドの音声を2つの(フロントに相当する)スピーカで出力できるようにしたと、それだけ。存在しないセンター、リア、サブウーファーを2つのスピーカだけで出すようにしたんです。たったそれだけなんですが、やってみたらけっこう音の感触が違ってきました。我が家はテレビを含めてAV環境は居間にあり、間取りの関係でスピーカを増設することは困難です。なので購入したCDやDVDなどのサラウンド音声も最初から再生をしていなかったんですが、上記のようにとりあえず「出せる」ようにしてみて、さて変わるのかなと映画のブルーレイなどを再生してみたら…。
 けっこう違って聴こえるんですね、いやマジで。さすがにサラウンドとはいきませんが、それなりに音に厚みが出てきたように感じます。最大の変化は低音。気のせいかな?でも確かに以前より響くように感じます。で、これが楽しい楽しい(笑)。映画だと「スター・ウォーズ」とか「ロード・オブ・ザ・リング」のスペクタクルシーンばかり再生して、音だけ聴いています(笑)。「王の帰還」の「じゅう」(映画だとオリファントですね)の足音なんて最高(笑)。
 で、音楽。家の中探したらけっこうあったんですよSACDとかDVDオーディオとか。「デラックス・エディション」に付録で付いていることが多いし。聴いてみたらどれもすごかった(今さら何言ってるんだと自分でも思いますが)。ザ・フー四重人格」ボックスのDVDはわずか8曲の収録ですがなかなかセンスある選曲。ピート・タウンゼントは新しいアイテムが出るたびに過去の作品の音をいじりますが、これこそまさにそういう感じ。実に見事。リマスター盤からはずっとカットされていた(最初のCD化の際までは入っていた)「The Real Me」でのロジャーのボーカル(中間部でのワンフレーズ)がなぜかここでは復活していました。モノラルのように真ん中で響くキースのドラムを柱に、左右で幾重にも鳴り響くギターやホーン、キーボード。僕はアナログ4種、CDも数バージョン持っていますが、そのどれよりもずっとクリアで伸び伸びした音でした。リアルなサラウンドで聴いたらどれほどすごいんだろうなあ?
 もうひとつ驚いたのがキング・クリムゾンの「クリムゾン・キングの宮殿」。これもアナログやCD(リマスターも高音質CDも持ってますぜ)より澄んだというか美しい音。アナログ(日本盤)ではゴチャっと不鮮明に詰まっていた音がちゃんとそれぞれの空間を確保して鳴っている感じ。「Epitaph」のピアノは、リマスター盤の登場まで聴きにくいものでしたが、DVDではきれいに聞こえます。それに「Moon Child」のインプロビゼーションは、本当に美しい。あのギターがトーンを絞っていないということもちゃんとわかります。
 そして僕の興味はより高音質といわれる、ブルーレイ・オーディオへ。
 いくつか入手したなかで感動したのはクイーンの「A Night At The Opera」とイエスの「Close To The Edge」。どちらもイヤになるほど持っていてイヤになるほど聴いてきましたが(笑)、このフォーマットには新鮮に驚きました。このフォーマットのものを聴いた後に今までのCDやアナログを聴くと、後者は「狭い空間に音が詰まっている」という印象を受けるようになります。それくらいブルーレイ・オーディオは広々とした感じ。そしてクリアー。「危機」の「I Get Up I Get Down」後半に入るパイプオルガンは以前のフォーマットの「レベル振りきっちゃった」ような耳障りの悪いものから、堂々と澄み切ったものに変わっていましたし、どの楽器もきれいで伸びやか。そしてボーカルがまるで違う。フレディが、ジョン・アンダーソンが、実に生々しく眼前で歌っているように聴こえます。逆にスタン・ゲッツジョアン・ジルベルトの「Getz/Gilberto」は少ない音数がそれぞれ存在感を増した感じ。微かに鳴っているシンバルがとても心地いいです。
 総論的に高音質盤は「広々した空間を感じられる」「楽器やボーカルを身近に感じる」という感じですが、もうひとつ、「聴いているとくつろげる」とも言えます。クリムゾンやザ・フーといった、緊張感を持った作品でさえ、「音を浴びる」ような、一種独特の感動と「包まれる感じ」を覚えます。これがとても気持ちいいです。
 我が家のAV環境は機器としてはとても貧弱なんですが、再生フォーマットだけはたくさんあって、FLACやWAVEも含めてハイレゾからアナログまでいろいろ鳴らすことができます。で、そのどれを聴いてもそれぞれの音と感動があるということも経験的に知っています。でもこの高音質はとても魅力的。ちなみにブルーレイ・オーディオは今買うとだいたい3500円くらい。これを高いと思うかどうかですが、30年くらい前の、初期CDもそれくらいだったし、現行アナログ盤も3000円超(重量盤はもっと高い)ということを考えると、少なくとも僕には「ちょっと高いかな」という感覚です。今はまだタマ数が少ないですが、順調に増えてほしいな。繰り返しますが我が家はリアルサラウンドではなく、相変わらず2つのスピーカでの再生です。それでも「おお!」と思うような変化があったんですから、5.1chを完備している方はもっと大きな驚きや感動が得られるはずです。羨ましいなあ。
 今部屋に流しているのはノラ・ジョーンズの「Come Away With Me」SACD。こんな時刻にピッタリの音楽。これだって真面目に聴けばただ気持ちいいだけの音楽ではありませんが、こうして夜、いい音で聴いているとそういうことは関係なく「ゆったりと身を任せる」感じになります。低いボリュームですが確かに自分に届いている存在感。年末休暇の初日にはこれくらいのくつろぎがいい感じです。

Night At The Opera (Blu-ray Audio)

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Close to the Edge(CD+Blu-ray)

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Come Away With Me

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