僕にとってデヴィッド・ボウイは・・・

しばらく前に、結構年下のロックファンの人と飲んでいて、ロック談義で盛り上がったんですけど、その時に「初めて聴いた○○○のレコードはなに?」という話題になったんです。よくある話ですよね。で、デヴィッド・ボウイの時に相手の答えが「ネヴァー・レット・ミー・ダウン」だったんです。これはなかなか感慨がありました。答えてくれた彼の年齢を考えたら当然の答えなんで、それはそれなんですけど、グラムの時代もプラスチック・ソウルの時代も知らない世代によって現在のボウイのファンが(少なくとも若いみんなは)構成されているのだな、というのが実感でわかって、ああオレも歳とったなあ・・って、毎度同じようなノリですみません。でも僕も、ボウイに関しては人のことは言えません。僕も、何年もの間、たった1枚のアルバムのみ聴いていたんですから。

僕にとってボウイといえば、長いこと「Low」でした。ボウイは1978年に来日していて、その時の模様がNHKで放送されたのですが(キッスと同じ「ヤング・ミュージック・ショー」で)、その時に大々的にフィーチャーされていたのが、その「Low」からのナンバーだったのです。それで興味を持って購入したんですけど、本当に衝撃的でしたね。最初にターンテーブルに乗せたときに聞こえてきた「Speed Of Life」の、あのフェードインしてくるシンセのノイズに背筋に走ったショックは忘れられません。あんまり衝撃的すぎて、他のボウイのレコードに手を出すのが何年も遅れたほどでした。最初の何年間かはB面の、暗いアンビエント風の作品群に惹かれていたんですけど(いやなガキだね我ながら)、今ではA面の、楽曲そのものが光を持っている作品が気に入っています。このころのボウイはいわゆる「ベルリン時代」で、イーノがどうの、フリップがこうの、ネオナチがああだ、ドラッグがこうだとなかなか刺激的でしたが、今素直な気持ちで「Low」に対峙すると、思想や言葉ではなく、音そのものが説得力をもって屹立している感じです。ある意味で、作り手であるボウイの考えすら関係ないかのように響く音楽のよう。これはボウイの他の時代には感じられないものですね。これに目をつけた中学生の僕は偉かったか?ボウイが偉いんだなやっぱりw。
最近のボウイの国内盤は、CCCDだったりして油断できないのですが(特に再発)、「Low」のデラックス・エディションが出たら買っちゃうかも!?