生まれ変わって花になったら、働かなくていいなあ(爆)

 というわけで、今日はスティービー・ワンダー三昧でした。
 朝は「Talking Book」から「Innervisions」昼休みの外出と帰りは最初シリータのアルバム(外国盤、Hip-O Select の通販で買いました)から何曲かと「Journey Through the Secret Life of Plants」のC面(今はなんていうんだろう?「Send One Your Love」から「Seeds Is The Star/Tree Medley」まで)。
 スティービーの絶頂期が70年代の前〜中期(「Songs InThe Key Of Life」まで)というのは、どんなにその他の時期の彼を好きな人にとっても、事実として受け入れざるを得ないことでしょう。まさに神懸かりの作品群。僕ももちろん大好きです(僕は「Key Of Life」を一番聴いたかな?)。じゃあその他の時期はおまけみたいなものかといえば、そんなことはないのがこの人のすごいところ。今に至るまで、客観的にみればずっと素晴らしい作品を生み続けています。
 で、僕ですが、じつは上に書いた「Journey Through the Secret Life of Plants」が大好きなんです。スティービーのレコードの中で、最もインストルメンタルの比率が高く、そのインストも、シンセ中心でちっともファンキーじゃない。西城秀樹も歌った「愛の園」なんてのまで入っていて、あんまり話題になりませんね。
 でも僕は、このアルバムは、最高にソウルフルなレコードだと思っています。冗談ではありません。スティービーの持つ、スピリチュアルな側面を最もよく表現しているのはこのレコードだと思います。
 サントラということでボーカル曲が少なく、数少ないボーカル入りの曲もいつものキャッチーさがないものが多く、人によっては「ここから後のスティービーはだめ」とまでいう、そういうレコードですが、だまされたと思って一度聴いてみてください。いえ、一度ではなく、がまんしてでも何回も。きっと「わかる瞬間」がやってきます。ソウルとは音楽の形式や特定のビートをさすのではありません。そのことを学ぶ、またとない機会です。
 確かイエスのジョン・アンダーソンがこのレコードを聴いたときに「ああ、まだこの世には素晴らしい音楽が生きられる余地があるんだ」と感激したという話を何かのインタビューで読んだことがあります。僕もこのジョンの言葉に一票を投じます。
 「Come Back As A Flower」を初めて聴いたときの、驚きのような感動は、今も忘れられません。シリータの美しい声で歌われる、シンプルだけれど自然や未来を祝福する歌詞も素晴らしい。終わった後しばし続く鳥の声が止み、「Seed's A Star」(たぶんスティービーのすべての曲の中で、最もストレートなロックスタイルの曲)の、昂揚と感動が同時にやってくる数分間は、スティービーだけではなく、他のどんなアーチストの曲でも感じることのできない貴重な時間です。70年代にはいって、成人したスティービーが手にしたのが未成年の時の印税と、自分のレコードを自由にプロデュースする権限だったのは有名ですが、「Journey Through the Secret Life of Plants」は、音楽のスタイルではなく、精神において自由につくられたレコードだと、僕は思います。
 10年ぶりの新作が、まだ満足できる出来じゃないと、発売延期になったというのが最新ニュースのスティービー。相変わらずの完全主義者ですが、どうか演奏の良さ、曲の出来だけではなく、スピリットの素晴らしさも讚えられる作品でありますように。楽しみにしてますよ、スティービー!
Journey Through the Secret Life of Plants