行ったこともないのに懐かしい国

 行きはエルビス・コステロの「Armed Forces」理屈抜きに元気になる演奏と歌。この人を初めて知ったのはとある音楽雑誌で、そのときは「This Year's Model」のジャケ写真とともに「イギリスからまたパンクの新人」とかいう記事でした。なんかパンクって危なそうで、演奏ヘタそうで、当時苦手だったので、コステロの演奏もそんな風に聴いていました。ほんと、先入観って恐ろしい。僕だけかな?
 さて、今日は仕事で(しかも残業中に)けっこうストレスのたまる出来事が続き、帰りの電車では、救いの手をランディ・ニューマンに伸ばしてしまいました。「Ragtime」と「Songbook」のチャンポン。ランディはキャリアの長い人で、それなりに音楽の変遷もあるのですが、僕は主に、「懐かしいアメリカ」を感じさせてくれるところを聴いています。苦くて切なくて美しい、想像の彼方のアメリカ。そうそう、ニルソンの「Nilson Sings Newman」も愛聴盤です。そういえばピクサーのCGアニメは、最近までこの人が音楽を担当していたんですよね。「トイ・ストーリー」を観に行ってびっくりした記憶があります。一緒に行った妻に「音楽よかったろ?あれ、ランディ・ニューマンだよ、知ってる?」と話して、見事に無視されたっけ(笑)。
 確か「モンスターズ・インク」で念願のオスカーをとったランディですが、個人的には「トイ・ストーリー2」でとらせてあげたかったなあ。「トイ・ストーリー2」で歌われた「When She Loved Me」は、胸締め付けられる名曲です。「Songbook」の曲リストにこの曲を見つけたときは、遂にあの名曲をランディの声で聴ける!と興奮したのですが、収録されていたのは短いピアノのソロでした(それもすばらしかったですが)。帰りの最後、そのピアノを聴いた後、「トイ・ストーリー2」サントラに入ってた、女性ボーカル・バージョンを続けて聴きました。苦くて切なくて美しい歌を聴きながら、家のドアをくぐりました。いえいえ、そんな感傷的でもなかったですが(へへ)。
 さあ、明日もがんばろう。決してあきらめなかったウッディとその仲間たちのように。

ランディ・ニューマン・ソングブック Vol.1