よい週末を!

 今朝起きたら頭の中で何かが繰り返し鳴っている。はて、なんだろ?と思ったら、なんとリック・ウェイクマンです。なんだろ?ともかく行きは最初リックの「Criminal Record」ずっと以前に書きましたが、なぜか僕はリックが嫌いになれないのです。十年一日のキーボードが、今朝はなぜか心地よかったです。
 で、何曲か聴いて気がすんだら、ボブ・ディランの初期。これはもちろん今読んでいる「ボブ。ディラン自伝」の影響です。ほんと単純だなあ。ごく初期のものを聴いていたので、もちろんバックはギターとハープのみ。で、とんでもない迫力です。特にボーカルの力は尋常じゃないです。ディランというと例のあの脱力したように聞こえるボーカルを思い出しますが、実際聴いてみると、驚くほど端正な歌いかたで、その力強さに圧倒されます。「Gospel Plow」での彼の歌声は、彼が最高の歌手であることを証明してくれます。
 さて、今日は仕事の大きな山場があり、帰りはぐったり疲れてしまいました。疲れるとハードな曲が聴きたくなる僕が、「もう今日はハードなのはいいや」と思うほどの疲れ。で、結局選んだのはミシェル・ルグランでした。「華麗なる賭け」「シェルブールの雨傘」その他いろいろ。僕はイージー・リスニングやストリング・オーケストラものはあまり聴かないのですが、ルグランは数少ない例外です。ずっと昔にテレビで観た「華麗なる賭け」は、そのストーリー、演出すべてが本当にオシャレで印象的でしたが、一番印象に残ったのが音楽でした。そのときには作曲者が誰かわからず、ただ主題歌のメロディーが忘れられないくらい気に入ってしまったのです。まさにこのオシャレな映画に相応しいメロディ・・・。それが「Windmills Of Your Mind」だったんです。僕が普段聴く音楽に比べると格段に「スィートな」ものですが、このメロディにこのアレンジとハーモニー。いいですね。僕にとってランディ・ニューマンが「架空のアメリカ」なら、ルグランは「架空のヨーロッパ」です。
 帰宅直前は「Legrand Jazz」。1958年に、ハネムーンで寄ったニューヨークで録音したアルバム。当時のマイルスコンボ他、やたら豪華な布陣で、ものすごい「オシャレで華麗な」ジャズを演奏しています。ここのマイルスとコルトレーンがいいんですよね。特にコルトレーン。俗っぽさギリギリで踏みとどまったような、ため息のような(音量がため息ということではありません念のため)音色が。他人へのゲスト参加で「本音」をもらしてしまう音楽家はけっこういますが、このレコードでのニューヨークのジャズメンたちは、「本音」を吐いたというより、本人たちも無意識のうちに、自分たちの持っている「別の魅力」を引き出してもらったという感じ。自然なんですね印象が。それを可能にしたアレンジとコンダクターぶりが、さすがだなあと唸ってしまいます。
 さて、1週間終わりました。先々週の発熱から今週の仕事関係まで、さすがにいろいろあって疲れてしまいました。明日は久しぶりにゆっくりしましょうか。みなさま、よい週末を。
ルグラン・ジャズ +3