今考えたら、すごいメンツだね。

 今日は1枚のCDを買ってきました。ハルメンズの「ハルメンズの20世紀」。
 これ、1981年の作品だったんですが、僕がアナログを買ったのはたぶんその翌年、ゲルニカのファーストを聴いた後だったはずです。もちろん戸川純が目当てでした。初めて聴いた印象は「暴力的なテクノだなあ」でした。どの音も、のどかにピコピコいうのではなく、ノイズ一歩手前まで歪んだように聞こえたのです。これにくらべたら、わざとナローレンジに録ったはずのゲルニカでさえ、端正に感じられるほどでした(のちにプリンスを初めて聴いたときにも、スタイルこそ違え同じようにノイジーな印象を持ちました)。アルバムのジャケットも曲調も、ちょっと見にはかわいらしいものですけれど、どこか見る(聴く)者を不安にさせる不気味さを持っていて、ちょっと腰が引けながら惹かれていました。この「半身が引けているんだけど抗えない」感じが、僕のテクノに対する立ち位置でした。
 ハルメンズはもう1枚持っていて(「ハルメンズの近代体操」)、その後大学生になったときに、よく演劇やニューウェーブバンドをやっている人たちから「ハルメンズ貸して」と頼まれました。そのころはもう入手困難なレコードだったのですね。貸してあげた人に感想を聞いたところ「かわいい」と言われて、僕の持っている印象とのあまりの違いに「時代が変わったんだろうか?」と困惑したものです(当時は戸川純が一種のアイドル視されていた時代ですからね)。
 今日久しぶりに聴いた「20世紀」は、さすがにもう単純に不気味だとは感じませんでしたが、テクノビートの諧謔味の彼方にある、あのざらっとした感触は健在でした。聴いていると、なんか、いろいろ思い出すなあ昔のことを。自宅からえらく遠かったキャンパス、劇研の人たちとの会話、名画座でつぶす時間、「宝島」・・・。おいおい、ハルメンズで追憶モードか(笑)。ハルメンズの20世紀