リクにお応えして・・フリーの「魂」

 フリーの音楽を一言で言い表すのは難しいですね。まあ、どんなグループもそうですが。一般的には60年代後半イギリスにたくさんいたブルースロックバンドの、一つの到達点という感じでしょうか。
 僕が初めてフリーを聴いたのはもうずっと前のことで、そのときには知らなくて後に驚いたのが、バンドの現役時代のメンバーの若さでした。こりゃ老成とかいう生やさしい言葉ではすまないものです。今でも信じられません。最初のころ僕は、イギリスのブルースロックのグループでは、フリーはその正当派で、最もオーソドックスなブルースロックを奏でていた(ゆえに、新しいブルース解釈とそこからの脱却をしたゼップ等のグループより劣る)と考えていました。その程度の認識だったんです怒んないでね。
 傑作の誉れ高い「Fire And Water」ではなく、最初の2枚をよく聴くと、単純なブルースロックではなく、もっと違う持ち味が感じられます。何年か前まではのどかに「これはイギリスのトラッドの影響に違いない」と考えていました。今ではその持ち味を、僕は「ブリティッシュ・ソウル」と勝手に呼んでいます。つまり、イギリス人である彼らがアメリカのブルースを愛し探求する中で(無意識かどうかわかりませんが)探求し始めた「イギリス人としてのルーツ、魂」ではないかと。
 フリーの音楽は決して頭を抱えて聴くものではなく、日常聴いて愛せるものです。でもその表層だけ考えると、いかにも「どブルース」なアレンジは地味で地を這うようです。でもそれがいい。それは彼らの音楽が持っている「イギリス人のソウル」が美しく、聴く人を感動させるからだと思っています。
 フリーはその後解散して、残党がバッド・カンパニーを結成しましたよね。世間的には共通した音楽性を持っていると思われている両グループですが、僕には、バドカンはこの「ブリティッシュ・ソウル」が希薄になってしまったなあ、と思います。つまりフリーの大きな魅力であり特性であったものがバドカンには足りないと(もちろんバドカンも好きですけど)。
 フリーのセカンドに「Mourning Sad Morning」という曲があります。フルートとアコースティックギターが中心の、陰影の深い、重いナンバーです。でも僕にはこの曲にたまらない美しさと英国らしさを感じます。主観的な物言いですが、「ソウルは形式や地域ではない」と思える名曲です。
 
追記:読み返したらえらくまじめに書いてますねえ(照笑)。もちろん元祖ハードロック的なところも大好きですよ。「All Right Now」 も歌えます、音痴だけど。Free