今日もキーワードは「ありがとう」

 さてさて、今日も出勤。あ〜楽しい楽しい。今日の南関東は猛暑快晴なのに不安定な天候で、一時にわか雨が降ったんですが、それさえ窓のない作業部屋にいたために気がつきませんでした。残務を若い者に任せて外に出たときにはピーカンになってました。「なんで地面がぬれてんだろ?」とか思いながら帰宅。結局疲れてしまってレコ屋には寄らず、ブライアンのDVDは未購入。まあ、いつでもチャンスはあるさ、早ければ明日にでも(笑)。
 昨日「SMiLE」をやった同じ時間帯に、今日はカーペンターズのドキュメンタリーをやっていました。これは悲しくて、昨日と違う意味で感動的でした。

 もう10年くらい前になるのか、カーペンターズが日本でリバイバルしたころ、当時テレビ東京でやっていた「音楽は世界だ!」という番組に、リチャード・カーペンターがゲストで出演したことがありました。この番組ではグループの歴史を解説したり、彼らの音楽の魅力を語るという感じで進行したのですが、その大部分でリチャードのコメントが入るのです。ずいぶん歳をとったなあという容貌のリチャードでしたが、コメントはどれも生前のカレンへの愛情のこもったものでした。司会のタモリが、たぶん軽く冗談のつもりで言った「カーペンターズがずっと前に消滅したことを知らない若いファンが、『来日はしないのか?』とレコード会社などに問い合わせている」という言葉に真顔で「カーペンターズを待ってくれているみなさんのところに、カレンと一緒に行かれないことを本当に申し訳なく残念に思います」と答えていたのがものすごく印象的で、また感動的でした。いつもはどちらかといえば楽しげに進むこの番組が、この回だけいくぶん厳粛でまじめな雰囲気で進みました。過度に「お涙ちょうだい」にせずに彼らの業績を賞賛する番組づくりは、いつだったか忘れましたが日テレの「知ってるつもり」で彼らを取り上げた時よりもずっと好感がもてるものでした。
 番組のエンディング、「それではごきげんよう」と、いつものように締めた場面があり、ふつうはそれで終わりなのですが、この日は、そのエンディング場面がフェードインでカーペンターズの全盛期の映像(のスローモーション)に変わったのです。画面には若く幸せそうな2人の演奏シーン。そしてそこに、テロップが映し出されたのです。『リチャードとカレン、すばらしい音楽をありがとう』と。バックに流れていたのは「We've Only Just Begun」。「私たちのすばらしい日々は、今始まったばかり・・」という歌が流れながら、番組は静かに終わりました。僕はこれを妻と見ていたのですが、エンディングで不覚にも涙ぐんでしまいました。妻が「今日のは、いつもの(番組内容)と違うんだね」と話していたので、彼女にも通じるものがあったのでしょう。
 僕は全盛期に、日本中でカーペンターズの曲が流れていたのを記憶している、たぶん最後ぐらいの世代に属します。あのあと、80年代以後の不当に低い評価(僕もバリバリのロックファンだったので、バカにしていた時期があります)を経て、とうとうここまで再評価されるようになった。それが実感でわかったのがこの番組だったのです。今日のドキュメンタリーを見ていると、本国ではその現役時代から彼らは不当な評価を押しつけられていたようですね。今はどうなんでしょう?再評価されたのでこういう番組が作られたんでしょうね。
 今僕の家では、僕、妻、母がそれぞれ自分のiPodを持っています(もちろん管理は僕ですが)。この3台のiPodに共通して入っている数少ないグループの一つがカーペンターズです。今も部屋に流れています。改めて僕からも、リチャードとカレン、すばらしい音楽をありがとう。ライヴ・イン・ジャパン