You know this guy?

 ニール・ヤング
 僕にとってニールの音楽は「ならすべき音を鳴らすことの大切さ・誠実さ」そのものです。
若い頃、ニールの音楽を聴き始めたときに感じたのは、なんか落ち着かないという気持ちでした。「Helpless」が好きだったころ、アコースティック主体の曲を中心に聴いていたのですが、そういう曲を聴いていても、ほかのフォーク系のアーチストを聴くときのようなのどかさが感じられないのです。聴きながら、気がついたら肩に力が入っている、そういう感じ。クレイジーホースと組んだときのすさまじい音はもちろんですが、静かな歌い声からもくつろぎが感じられずとまどったのです。
 今ではわかります。というか、聴きこんでいくうちにわかりました(自分なりに)。アコースティックな曲も、エレクトリックな曲も、結局はニールが「自分が今ここでならすべき音」を奏でているのだということが。だから静かな曲からもあの「狂気」のような響きが感じられ、元祖グランジのような音からも彼の誠実さが感じられるのだと。そして彼の音楽は、何作か好きなものを選んで聴くのではなく、永くつきあうことで理解できるものがあるのだということが(このあたり、crayolaさんも同じように書かれていて、大賛成!)。
 一昨年の「Greendale」の武道館コンサート。第2部はいわゆる「代表作を演奏する」というものでしたが、思い出してみると、全部で5曲くらいしか演らなかったんではなかったかな?とにかく1曲が長い。正確に言うと、フルコーラス終わった後の後奏でニールが延々と弾き続ける轟音ギターのせいで1曲が終わらないのです。なんとなくそうなるんでないかな、とレコードなどから想像はついたのでしたが、実際に生で体験すると、あのギター、決して冗長でもなく単調でもなかったです。冒頭にも書きましたが、あれは、ニールがその瞬間、奏でないことにはすまない必然性のある音でした。少なくとも僕にとっては。これは希有な体験です。ポール、ストーンズからフーまでいろいろなベテランさんを観ていますが、ニールのような戦慄は他にありませんでした。あの巨大な音と旋律の彼方にあるものは、きっと安易な言葉には還元できない「理想」なんだろうと思います。

 追記:なーんていって、いまでも一番好きなのが「Sugar Mountain」てのはいかがなものか?WELD -LIVE-