なんか結論でていないような・・・

 クラプトンって、ほめるのも難しいし、けなすのも難しい人ですよね。ここ何年か、って書いて、いったいどこまで遡るんだろうというくらい前からのメジャー路線・トレンディ路線は、かつての「神様時代」「レイドバック時代」を愛するファンにとってはむず痒いものです。バックの音もいかにもプロデューサーとアレンジャーがセットしましたみたいな感じだし。といって、じゃあまったくだめなのかというと、必ずしもそういうことでもないようで、どうもはっきりしないんです。
 僕はこの人の来日のたびに(なぜかいつも友人の誰かがチケット回してくれるんで)観に行っているのですが、ステージでの選曲やプレイは、若干の違和感あれど、やっぱりすごいモノです(なんでか最近のファンらしい人たちも「White Room」なんか知っているんですよね)。ブルースものも、良いといえば良いし、後ろ向きといえばそう思える感じです。
 ちょっと話はずれるんですが、しばらく前にホワイトストライプスのアルバムのことを書いたとき没にしたネタに「クラプトンのブルース路線ではなく、ホワイトストライプスのような音楽こそが『ブルースの現代的解釈』だ」というものがあったんです。その稿は結局、考察が浅いと思ってやめたのですが、ロバート・ジョンソンものも含めた諸作が、果たして諸手をあげて(クラプトンの昔からのファンとして)ほめられるかどうかというのも、ちょっと断言できないのです。体にはなじんだ感触で抵抗はないんですが。こんな感じで、僕はいつしか、クラプトンのスタジオ新作からは遠ざかってしまっていたんです。
 今回「Back Home」を購入したいきさつは先日の日記に書いたとおりです。で、最初は「いい!」と思っていたのですが、何回か聴いているうちに印象が変わってきました。これまた「ほめにくく、けなしにくい」作品です。まずだめなのが、全体的にアクのない現代的な演奏があまり魅力的でない。いい感じなんだけど、エリック・クラプトンである必然性が感じられないのです。
 良い面はというと(ちょっと矛盾しますが)、少し前のもろコマーシャルな音からは若干離れてくれていて、そのぶんボーカルとギターが魅力的に聞こえます。曲によってはアレンジもこなれていて、おっと思うところもあります。曲もいい感じです。レゲエ調の曲も肩の力がぬけていて聴きやすいし。では、じゃあ愛聴盤になるかというと、それはまた微妙なところなんです。これはまだ態度保留になりますが。
 ただ、僕個人としては、まあまあ大丈夫な部類ですね。いや、なんかひどく書きすぎたかなあ。今スピーカーからは「Run Home To Me」が流れているんですけど、1日の終わりに聴くにはいい感じです。いけるじゃん、これ。うーん、やっぱりほめにくくてけなしにくいなあ。なんか玉虫色ですみません。