こういう人をもっと評価しよう

 今日の行きはスティービー・ワンダーの「In Square Circle」と「Conversation Piece」。KENNYさんのブログ情報で新譜が出たらしい、でもすぐに買えないので、前作(といっても10年前ですが)で準備(?)です。
 帰りはコステロの「Kojak Variety」。これはcrayolaさんのブログでちょっと前に取り上げられていて、そのときには(例によって)行方不明だったアルバムですが、やっと探し当ててiPod入りさせたものです。いわゆるカバー集で、厳密な意味ではオリジナル・アルバムではないのですが、この人の場合普段からものすごく広いレンジで活躍しているので、まるで違和感ありません。演奏はマーク・リボーのギターも含めて実に見事で、きっちりしていながらくつろいでもいるという至芸。コステロのボーカルも、こういうスタイルに合う合う。あのちょっとウエットでほろ苦いボーカルは、本当に守備範囲が広いです。
 僕の妻はコステロというと「あの『She』の人ね」と言います。それはないだろ!と思いますが、考えてみたら、あれだってれっきとしたコステロのパフォーマンスです。決して「サントラ仕事で小遣いかせぎ」というものではありません。僕のコステロのイメージはもっと古く、アグレッシブなロッカーという感じなのですが、冷静に考えてみたら、この人の活動は、本当に広い範囲をカバーしています。で、それが必ず「コステロの音楽」としての必然性を感じるのですから感服します(「The Juliet Letters」ですら!)。僕は必ずしもコステロのすべての時期をリアルタイムで愛したわけではなく、正直に言ってしまうと、すぐには理解できないものがだんだんわかってきた、という感じのものも多かったです。その意味では、コステロに育ててもらった部分もあると言えるのかも知れません。特にカントリー方面は、この人が演ってくれなかったらその価値に気づかなかったかも。
 こういう、真に「いろんなことを演りながら、そのどれも様になっている(アーチストの必然性が感じられる)」人というのは、そう多くないと思います。僕は他にそういう人というと、ポール・マッカートニーやザッパの名前をすぐに思い出しますが、コステロはその2人のちょうど中間にいるのかも知れません。沈黙時期があまりない、最近では希有なベテランアーチストですが、これからもがんばって多作家でいて欲しい人ですね。出すものの質は折り紙付きの人ですからね。なんか書いていたら、いろいろ聴きたくなってきたなあコステロ。もう夜遅いのに盛り上がってきたなあ(笑)。Kojak Variety