理屈抜きに好きな曲

 今日も雨模様。今日の行きはスライの「Stand!」。雨の黄昏れたムードを振り払おうと朝から空元気でスタートしました。
 帰りはボブ・ディラン。自伝を読みながら「Street-Legal」を中心に。まだ読み終わっていないんです、「ボブ・ディラン自伝」。なんだか読み進めなくて。どのページも、あのディランの歌詞そのままの文章が続いていていて、面白いことは面白いんですが、読み疲れてしまいます。じっくりいかないとだめかな?
 「Street-Legal」はディランの初来日の年(1978年)に発表されたアルバムで、当時の評判はあまり良くなかったものですが、最近はどうなんでしょう(ディランのレコードは、「ハイウェイ61」「ブロンド」「血の轍」「欲望」あたり以外はあんまり個々の作品の評価が聞こえてこないんですよ)。僕は大好きなレコードです。「Changing Of The Guards」「True Love Tends To Forget」といった名曲も好きですが、僕にはそれよりも好きな曲があります。アナログではB面1曲目に収録されていた「Is Your Love In Vain」です。
 この曲は、ディランの曲の中では比較的「何を歌っているのかわかりやすい」もので、要するに「僕が好き?」といっているものです。歌詞の言い回しこそ「口に出して言っている半分でも僕を愛している?それとも単に後ろめたいだけ?」とか「僕が孤独を必要とする人間であることをきちんと理解していますか?」「王様たちと宴を共にしたことも、翼を提供されたこともあるけれど、そんなものに心を動かした事などなかった、そんな僕が貴女と恋に落ちることにすべてを賭ける」なんていかにもディラン調ですが、全部聴き通してみると、とてもシンプルで赤裸々なラブソングです。
 ゆったりした感じのバラードで、バックの演奏も一聴するだけではシンプルなものですが、情感のこもったもので(特にオルガン)、ディランも丁寧に、切々と歌っています(僕にはそう聴こえます)。様々な顔を持つディランの、どちらかといえば話題になりにくい「ラブソングの名手」の側面をわかりやすく代表したこの曲、あまり「名曲だ!」と言われることもない曲ですが、僕にとっては、理屈抜きに愛する曲のひとつです。
 追記:
 ディランの初来日の時は、各メディアが大騒ぎでそれはそれは大ニュースでした。そのころまだ中学生だった僕は、コンサートに行けるんなんて想像もできないころで、どんなに世間が騒いでも、少しもうらやましくなかったことを憶えています。コンサートは賛否両論で、後に出たアルバム「武道館」も同じような評判でした。僕は浪人時代の夏頃、急に思い立ち、集中して「武道館」を聴いたことがあります。世評はどうあれ、僕にとっては「武道館」は「個人的名盤」です。

 もう一つ追記(私事);
 本日、ドレミちゃん、生後3ヶ月になりました。Street Legal (Reis)