ゼップにまつわる、ちょっとトホホな思い出

 今日起きたら、急にあるグループを聴きたくなっていました。ときどきこういうことがあります。僕だけかな?というわけで今日は行きも帰りも、レッド・ツェッペリンを聴いていました。
 初めて聴いたゼップのアルバムは、ご多分に漏れず4枚目です。僕が聴きだしたころは彼らはもうすっかり「ハードロックの王者」でしたが、聴いたときの印象は「ハードロックじゃないじゃん」でした。確かにラウドでヘビーでシャウトでしたが、やっぱりいつも聴くハードロックとは違う風格が感じられました。まだ洋楽自体にあまり造詣が深くない中学生にもそう聞こえたんですから、やっぱり彼らは違うのですね。その後に「聖なる館」「プレゼンス」「移民の歌が入っている3枚目」と続いて、やっぱり「ふつうのハードロックではない、掴みきれない深み」を感じつつ(それがなにか、当時は言葉にできませんでした)、渋谷陽一さんの文章を読んだりしながら、「わかった気」になっていました。
 そんなある日、順番的にはずいぶん遅れて、2枚目を聴いたんです(確か、友達が持っていて、その自宅で聴いたんだと思います)。1曲目の「胸いっぱいの愛を」でぶっ飛びました「ハードロックじゃん、これ」。
もうびっくりです(笑)。
 ゼップがハードロックだと言って驚いているロックファンというのも間抜けですが、順番が逆だったせいで、「ロック界トップクラスの表現者集団が、実はトップクラスのハード野郎だった」という変な感想を抱かせたんです。逆をいえば、彼らの成長の早さということになるんでしょうね。いや、「逆をいえば」じゃないや。それが正しい順番で間違えてたのは僕だ(笑)。いや、本当にひっくり返りましたよ世界が。
 今なら、例えば「ブルースロックから、独自の世界へ羽ばたいていった天才たち」とか「同じようなスタイルを同じ時期に思いついたジェフ・ベック・グループとの比較」とか「パーシーとボンゾがゼップ以前は無名だったなんて信じられない!」とか、いろいろ言えますが、その当時の、あの驚き(笑)を言葉にすることはなかなかできません。信じていたものが一瞬でくずれて、しかも信じていたものが、実は「自分が順番どおり聴いていなかったために作っていた脳内ストーリーだった」という、あの残酷さ(?)とおかしさ。いやあ、思い出すと面白いです。
 そんなわけで、今日は初期のゼップを中心にいろいろ聴きましたが、やはりハイライトは2枚目でした。「胸いっぱいの愛を」や「レモン・ソング」の、あの混沌として重いあの感じ。そして「ハートブレーカー」のストレートなヘヴィ・メタリックな感触。いいなあ。それにしてもパーシーの声も含めて、どの音もストレートに鳴っていますね。そういう部分も、大好きです。

 追記
 今日は意識して邦題を書きました。このころの洋楽の邦題は個性があっていいですね。最近はアーチスト側からダメ出しがでるとかいう話を聞いたことがあります。馴染んだ邦題は忘れられませんね。Led Zeppelin II