ライブレポ クイーン(横浜アリーナ)

 開演前の導入部で突然エミネムが流れ出してビックリ!それにかぶるようにメンバーが登場。
 基本的なセットは先日出たライブ盤と同様でしたが、やっぱりというか、実際に生で観ると気持ちが高ぶってしまいました。いろいろ悩んでいましたが、メンバーが出てきたら、やっぱり「おお!」と思ってしまうのは、ファンの性ですね。
 演奏は悪かろうはずもありません。ポールは歌も動きもすばらしく、見事なものでした。途中のMCで「クイーンファミリーの一員として受け入れてくれてありがとう」と言っていたので、プレッシャーもあったんでしょうね(僕の聞き取りなんで不正確かもしれません)。でも少なくとも今日のオーディエンスには「暖かく受け入れられた」以上の喝采を受けていました。記憶が確かなら奥様が日本人のポール、親日家のクイーン、雰囲気はとても良かったです。
 以下、印象に残ったことを綴ります。
・ブライアン、今回はギター、ワイヤレスでした。カールコード、見たかったなあ。
・ロジャー、ブライアンがボーカルをとることが多かったですが、改めて2人の歌のうまさを実感しました。
・ファンの年齢・性別がバラエティに富んでいたのが印象的です。かつてクイーンのコンサートというのは、「男子トイレに女の子が列をつくる」というくらい(実際に目撃しました)女性客が多かったのに。明らかにフレディ存命中には子どもだったくらいの人たちも多く、このバンドが時の試練に耐え、ロックの伝説になっていったことがわかります。
・ポールのレパートリーは「Bad Company」、「Feel Like Makin' Love」、「Can't Get Enough」、そしてアンコールに「All Right Now」。「Bad Company」ではステージの大スクリーンにポールの弾くピアノの、鍵盤部分がよく映っていました。しかしこの人、本当にうまいなあ。うれしそうに歌っているし。気持ちいいです。
・そのスクリーン、なぜかブライアンのギター「Red Special」をよく映していました。よくわかってらっしゃる(笑)。

 ライブ盤同様、中盤でブライアンのアコースティックセットがあったんですが、ここでライブ盤にない「Long Away」が演奏されました。短いバージョンでしたが、個人的には大感激!「手をとりあって」はアンコールと思いこんでいたらなんとそのアコースティックセットで演りました。それも、かつてのクイーンのコンサートのアンコール・ピース用バージョンではなく、途中からバンドもポールも参加しての「華麗なるレース」と同じ構成での完奏。これはキマシた。
 ステージセットはライティング主体のものでしたが、少しだけ大スクリーンに映像が映ることがあり、初来日時(だよな)の映像が出たときは観客席はどよめいていました。「Bohemian Rhapsody」では映像どころかフレディの歌声まで響きましたが、これは個人的にはちょっと「ここまでしなくても・・」と思ってしまいました。例のオペラパートで生前のフレディの映像がコラージュされていたんですが、それくらいに止めておいてほしかったな。
 アンコールの1曲目は、なんとブライアンとロジャー2人のみ(楽器はブライアンのアコースティック1本)で「I Was Born To Love You」!たぶん日本のみの選曲なんでしょうが、よかったです。2人とも歌がうまいうまい。クイーンの現役時代は、この2人の不仲がよく噂になっていましたが、その2人が並んで生前のフレディのナンバーを歌い、終わった後握手をするという光景は、あのストーンズの初来日時、「Midnight Rambler」でのミックとキースの絡みに匹敵する、個人的感動シーンでした。
 さて、事前にはなんだかんだ迷っていながら、こうしてこっそり(?)コンサートも目撃し、現時点での感想ですが(けっこう考えがまとまらないんです。興奮しているのかなあ)、やっぱり「あのクイーン」とは別のものでした。フレディという「華」がないために、一方ではバンドの演奏そのものに真剣に接することができました。そしてもう一方では、その演奏が真剣であればあるほど、昔の彼らにはあった、ある種のいかがわしさ(?)、なにかを笑い飛ばすようなユーモア感覚は希薄だったと思います。まさしく、「彼の不在」がどうしようもなかったんでしょう。でも行って良かったです。今の彼らは、僕が今書いたことなど百も承知のうえでこれをやっているんでしょう。昔の彼らの再現が目的なら、ダメダメなことしか言えませんが、そうではなく、今の彼らがファンに対して、できることをやってくれた、そういう印象です。真剣に見えるのも当たり前です。
 上にも書きましたが、観客席は様々な年齢の人がいました(もちろん昔からのファンとおぼしき人も多数いましたが)。単に「昔すごく人気があり、最近ドラマの主題歌でリバイバルしたバンド」というものではなく、はっきりと「ロックの偉人」として定着したことを肌で感じました。僕の年代にとって、クイーンはもろに「自分たち世代のバンド」という感じですので、やっぱりうれしかったです。
 ああ、まだなんかまとまらない。もうコンサートが終わって4時間経過したんですが、どうもうまく「書ききった」感じがしないです。まだ気持ちが落ち着いてないのかも。ともかくこれで今日はアップしましょう。クイーンとポール、どうもありがとう。