スティービーの新譜に酔う

 今日、僕の住んでいるあたりは今年最高の冷え込み。職場もなんだか空調がちゃんとしていなくて、1日じゅうみんなで寒い寒いと言っていました。もう冬ですね。
 今日はチャイムが鳴って30分後に退社、なんと帰宅は7時。ふう。やっと一息つけた。今日は、数えると1ヶ月半ぶりくらいに「1日自分の机でデスクワーク」できました。今月中に残務をこなさなきゃ。
 スティービーの新譜「A Time To Love」。もう何度もこのCDを聴きました。曲自体は80年代以降のスティービーのテイストです。アレンジも打ち込みがウエイトを占める、最近の作品の延長線上にあるものです。その意味では「最近の彼のアルバム」なんですが、明らかに違います。「In Square Circle」や「Woman In Red」のころ気になってしょうがなかった打ち込みっぽいアレンジが、相対的に控えめになっているという言い方もできるかも知れません。でも、そんな言い方ではなにかしっくりしないんです。あくまでサウンドは最新フォーマットだし、ヒップ・ホップ的な部分もあります。ですが何かが違います。ほんの少し何かが、いい方に違う。だからこのアルバムは続けて何度も聴き続けられます。そして聴いている間、幸せな気持ちになれる。こんなことは久しぶりです。どのくらい久しぶりかというと、「Jungle Fever」以来で、その前になると、もしかして「Hotter Than July」までいっちゃうかも知れません。もちろんそれ以外の彼のアルバムもみんな聴いていますし、大好きなんですが、今回のようにのめりこめるのが久しぶりということです。
 2曲でお嬢さんと競演しています。で、そのお嬢さんがあのアイシャとくれば、ファンには思い入れはひとしお、です。思えばあの「Isn't She Lovely」を初めて聴いたとき、この世にこんなに手放しの親バカソングがあるのか、と驚き、そのなんの虚飾もない至芸(歌も、ハーモニカも、そして無理矢理な展開がまったくない曲構成も)に圧倒されたこと。その彼女と、こうして音楽を共に創れるなんて、きっとスティービーも本当にうれしいんだと思います。今年は僕も娘が生まれましたが、その同じ年にこんな素晴らしい父娘競演のアルバムが出たなんて、いい記念です。
 この人のようなキャリアの長い人で、70年代にとんでもない活躍をした人は、それ以後の活動がいつも過去の作品と比較されて辛口のことを言われてしまいますね。僕もその傾向があるんで人のことは言えませんが。本当のところを言えば、70年代の、あの鬼気迫る作品群を最も愛していますし、普段聴くのもそのあたりなんですが、今回の作品は、これはこれで素晴らしい名作と思います。というか、きっとスティービーにとって、今の音楽は今の彼にとっての必然なんだと思います。80年代を通じて取り組んだものが、今ちゃんと形になって出てきた、そんな感じ。キャリア40年以上でまだ先に進んでいるんですね。本当に想像を絶する天才ですが、その天才の創った名曲名演を、こうして味わえるというのは、やっぱり長年聴いてきたファンにとっては格別の喜びです。
 最後に一言、「From The Bottom Of My Heart」が今、一番のフェイバリットです。

A Time 2 Love

A Time 2 Love