追悼 山下毅雄

 今日のアサヒ・コムに作曲家の山下毅雄氏が死去したとの記事が載っていました。
 この人は「数千曲を作った」と形容されるほどの多作家で、たくさんのテレビ用の音楽を書いているので、名前を聞いてもピンとこない人でも、きっと曲は聴いたことがあると思います。
僕の年代だと、この人の作品はとにかく子ども向け番組の主題歌などが中心になります。「スーパー・ジェッター」、「ジャイアント・ロボ」「悪魔くん」「冒険ガボテン島」「ガンバの冒険」など、今でも歌が歌えるものまであるほど印象的でした。
 しかし、僕にとってなにより一番なのは、「ルパン三世」です。
 ルパン三世はいくつかの作品群に分かれますが、僕の場合は一番最初のテレビシリーズ、東京ムービーが制作していたものに一番の思い入れがあります。というか、それ以後のルパンは、僕にとってはルパンじゃありません(カリオストロですら!です)。ルパンの最初のシリーズが低視聴率で打ち切られたというのは有名な話しですが、僕はなぜかちゃんと観ていて、クラスにも何人もそういう友達がいたのです。今観ても大人っぽいストーリーと演出ですが(特に早い回の作品)、当時から面白いと思っていました。
 で、そんなふうに面白く観ていたルパンの魅力のひとつに、その音楽がありました。他の子ども向け番組とは明らかに違う、不思議な、けだるげな音楽。今なら「ジャズっぽい」「おしゃれなスキャットだね」「なかなかソウルフル」とか、そういうふうに思えるんですけど、なにしろまだ10歳いってませんでしたから、よくわからずに、でも魅力だけは感じていました。ある意味ものすごく「アクのある」音楽で、それが同時に大きな魅力だったんだと思います。僕にとって「ルパン三世」は、あの音楽もひっくるめてのものなんです。
 アサヒ・コムの記事には「90年代末から、再評価が進み」と書いてありました。一般的な評価も上がってほしいと思いますし、実際上がっている人なのですが、僕にとっては、これからもずっと「あの名作『ルパン三世』のすばらしい音楽をつくった人」であり続けることでしょう。あんなかっこいい音楽を子どもの頃に聴くことができて幸運でした。ご冥福をお祈りします。

 ちょっとだけ追記
 「七人の刑事」もこの人の作品でしたね。「七人の刑事」といえば、「スネークマン・ショー」で「大麻持ってきて拘置所に入れられた某大物ミュージシャンに、何枚もサインを書かせる」というスケッチのバックに流れていましたね。いや、正確に言うと、僕が聴いていたら親が「これは『七人の刑事』の曲だ」と指摘していました。世代を越えて記憶に残る作品を残した偉人だったんですね。