大人の楽しみ

shiropp2006-01-10

 買いました!ついに。「クリムゾン・キングの宮殿」の「オリジナル・マスター・エディション」!
 長かった。なぜかいつも別の買い物にジャマされて(?)買えず、最近では店頭で見かけることもなくなってきて、「しまった、買い逃したか?」と思っていたのですが、今日仕事帰りに寄った大型輸入盤店で発見、偶然買える金額を持っていた(1800円くらいです)ので即ゲットです。前にも書きましたが、このアルバム、数えるとうちに4枚あります。しかもそのうち3枚がCDです。これでアナログ1枚(中学生の時に買ったもので、帯に「アビイロードを抜いたアルバム」という、あの有名なコピーが入っているものです)、CD4枚の合計5枚ということになりました。良い子は決してまねしないでね(笑)。ぜったい妻には内緒です。
 肝心の音ですが、まだ全部聴いていなくて、おっ、今「Epitaph」が始まったとこですが、確かに一つ一つの音がはっきり聞こえてきます。エコー成分がはっきり聴けるのもいいですが、管楽器とパーカッションはくっきりしました。特にドラム。以前から素晴らしかったマイケル・ジャイルスのドラムですが、さらに称賛したくなる音です。それから、アレンジの中で埋もれていたピアノの音などが鮮明になったことで、「ああ、こういうフレーズを弾いていたんだ」ということがわかるようになりました。これは噂に違わぬモノでしょう。第一印象は申し分ないものです。
 で、ここまで書いて、今日の本題はちょっとナニなんですが、「デジタル・リマスターのよる音質の向上」って、音楽を愛するうえでどのくらい有効なんでしょうね。
 僕もロック歴が長く、昔買ったアルバムがリマスターされて、、、というのはたくさん経験しています。その中には本当に感動したり、驚いたものもあります。その意味では、音質向上はけっこうなことだと思います。
でも、だから「いい音でないと素晴らしい音楽経験はできない」とまでは言い切れないような気がするんです。
 僕の好きなビートルズには「イギリス・オリジナル盤最高説」というものがあります。つまり、真のビートルズサウンドは英国盤のイニシャルに刻まれていて、そこにはその後再発されたものでは体験できない音がある、というものです。
 僕はオリジナル盤を聴いたことがないのでなんとも言えませんが、その話自体はそのとおりなんだろうなと思います。なんですが、じゃあオリジナル聴いたことがない人のビートルズ体験は、聴いた人の体験に比べて相対的に劣るのか、というと、それは違うんじゃないかな、と思うのです。音楽に対する反応や感動は、基本の部分では(よほどひどい音・特殊な環境ではない限り)変わらず、ただ好みや印象が違うだけなのではないかと。
 そう考えて、最近の音質向上リマスタリングはなんなのか、というと、僕には「長年聴いてきたファンへの贈り物」なのではないかと思っています(若いファンの違和感をなくすという意味もありますね)。リマスタリングすると個々の音が鮮明になり、昔聴いたときはよくわからなかったフレーズやアレンジの「?」がわかるようになります。また、ぐっと上がった音圧で、「こんなに迫力あったんだ!」と改めて感心したりできます。ここで肝心なのは「改めて」というところで、初めて聴く若いファンにはできない感動の仕方です。
 僕は「宮殿」を中学生の時に初めて聴きました。その時の自分に今日買ったCDを聴かせても、きっと驚くでしょうけど感動はしないと思います。そして、「未来から来た音源」を聴いたからといって、感動や愛着が(アナログ)より深まるなんてこともないでしょう。僕が今日している感動は、30年近く聴き続けてきた愛聴盤の音が良くなったためにできたものなのです。昔の名盤の大幅な音質向上は、大人のための楽しみなんだと思います。
 追記:今ちょうど全部聴き終わりました。アナログでいうB面はすごかったです。確かにこれは買って損なしでした。はあ、よかった。でも残りの4枚も処分しないけど(笑)。