重鎮なのに軽いたたずまい

 僕の職場でも人の異動がありました。その第一弾でやって来た同僚の1人がエルトン・ジョン(最近の、ちょっと小太りで短髪の彼)に似ています。思い切ってそう言ってみたら、当の本人は「エルトン・ジョンがどんな顔かわからない」と話していました。が、この僕の発言は言われた本人以外のメンバーに大受け。「似てる!」「私もそう思います!」という賛同の声(?)が相次ぎ、とうとうネットでエルトンの顔写真を探してくる輩まで登場。みんなで「ほら、この写真が似てるよ」「こんどこんなメガネに換えてもらおう」なんて盛り上がっています。洋楽のネタをふっても空振りのことが多いのにこの大反響(笑)、いかにエルトンがみんなに知られた存在かわかります。
 で、そうやって話題にすると聴きたくなるんですよねエルトン。自分でも単純だと思いますが。で、ちゃんと入っていてくれるのが大容量iPodの素晴らしいところ。昔(カセットとかMDとか)の時代には想像もつかなかった状態です。ありがとうiPod(笑)。
 そういうわけで、帰りの電車の中ではエルトンを聴きました。入っていたのはベスト的な選曲のものでしたので、オリジナルアルバム1枚まるごとという感じではありませんでしたが、いい感じでした。この人、注意深く見ればキャリアの浮き沈みもあったし、曲ごと・アルバムごとの出来不出来もあるのですが、少し離れたところで俯瞰してみると、ずっと水準以上の活動ですね。
 活動歴の長いアーチストの場合、初心者は「どのあたりから聴き出したらいいか」に迷ってなかなか手が出せないということがわりとあるんですが、エルトンの場合は、基本的に「どこでも大丈夫」な感じです。いろいろな音楽性を持ってはいますが、その根底は常にいつの時代にも通じるポップスだからなんでしょう。逆にそのために実像よりも軽んじられているのかも。
 今日聴いていたのはエルトンの有名な曲ばかりでしたが、それも実に多彩です。「Bitch Is Back」「Philadelphia Freedom」「Daniel」「Crocodile Rock」「Madman Across The Water」等々。バラエティに富んだ曲群ですが、決して匿名的なものではなく「作者の顔がちゃんと見える」曲になっているのはさすがです。ずっと昔、まだロック聴き出して間もない頃は、すでに大スターで、しかも聴きやすいポップを演奏していたエルトンを、なんだかバカにしたような目で見ていましたが、今こうして聴いていると、その質の高さに驚きます。まったく飽きが来ない名曲です。
 今部屋には「Sacrifice」が流れています。この曲はゆっくりしたテンポの曲で、アレンジもメロディも決して暗いものではないですが、聴いていると胸に迫ります。歌詞を読みながらだとなおさら。こういうのを名曲というんだろうな。
 実は今日、これからしばらくは仕事でイレギュラーなことが起こりそうだ、各自心がけておいてくれ、という指示が部署全体に出たところです。さあ、いよいよ活動開始だ。でもその前に、美しいエルトンの曲を聴きながら週末を迎えるとしましょう。それではみなさまおやすみなさい。良い週末を。

Madman Across the Water

Madman Across the Water