ライヴレポ・ジョン・アンダーソン 東京国際フォーラム

shiropp2006-04-18

 昨日、東京国際フォーラムまでジョン・アンダーソンのコンサートに行ってきました。
 今回はイエスとしての来日ではなく、ソロ・アーチストとしてのコンサートです。ステージが始まってみたら、本当にジョンただ1人が舞台にいて、1人で演奏をしていました(途中でギターからキーボードに移るとき、「今日はワンマンなんだ」と言いながら自分でマイクを移動させていたのがおかしかったです)。
 最近の彼の音楽は、ロック的なものではなく、もっとアコースティックなもので、今回のコンサートのコンセプトもその線に沿ったものでした。その意味では予想どおりだったのですが、予想以上にいいコンサートでした。ステージにはジョンだけがいて、基本的にはギター(MIDIギターとアコースティックの2本)とキーボードの弾き語り。MIDIギターを弾いているときはシンセが同期して伴奏も奏でているという感じ。
 会場はフォーラムのホールCという比較的小さな会場だったのと、演奏される音楽の性格のために観客も静かに聴きいるというムード。曲間のおしゃべりなどもきちんと会場の隅々まで聞こえる感じで、ロックのコンサートの喧騒や高揚とは無縁でした。それでもおなじみの曲(イエスナンバー)が始まれば拍手も一際大きくなるという感じで、始終いい雰囲気でしたね。ジョンのおしゃべりの時はバックステージに通訳(ナレーター?)がいて、日本語に翻訳してもらいたいときはジョンが鈴を鳴らすという(笑)、あんまり例のない進行でした(ついでに、鈴が鳴ってから、妙なタイミングで通訳の声が入ったりして、観客もジョンも「へへへ・・・」という場面もありました)。
 ジョンの楽器演奏のスキルですが、、、弾き語りの伴奏という意味では、申し分のないものでした。決してテクニシャンという感じではなかったですが、十分通用していました。印象的だったのはコードに関するセンスです。コンサートではイエスのナンバーも演奏したのですが、その中のいくつかは、レコードとは違うコードで演奏されていて、それが不思議な浮遊感を醸し出していました。ピアノで何曲かメドレーで歌ったとき「危機(の一部)」「海洋地形学の物語(の冒頭部分)」などが登場するんですが、メロディも歌い方も変わっていたこと以上に、原曲と違うコードのためにコンサート全体との違和感がなく、とてもオーガニックなものになっていたんです。演奏中は後方のスクリーンに映像が映っていたのですが、雲・星・水・森などを題材にした非常に美しいもので、そういう全体のムードが「おなじみのナンバーで変わっちゃう」ようなことはなかったです。そのあたり、ジョンの美意識が強く出たものでした。ジョンのボーカルは相変わらず(そう、相変わらず)すばらしく美しいものでした。ほんとこの人、年齢を重ねても声の感じが変わりません。
 そしてコンサート終了後にサイン会。正確に書きますと開演前の物販で、今回のツアーのCDかDVDを買うと整理券をもらえて終演後のサイン会に参加できるというものでした。もちろん参加しました。会場スタッフの段取りにちょっと難あり(整理番号順だって言ったじゃん!なんで早いもの順になっちゃったんだよ!)でしたが、サインはちゃんともらえました。
 驚いたのはジョンの態度で、「握手してもらえるかなあ?」と思って自分の番を待っていたんですが、なんと最初にジョンの方から手を出してくれて握手できたのです。間近で見る彼は、あのイメージどおりの柔和な感じでした。サインをもらって立ち去るときに思わずヘタな英語で「This is the best moment of my life.」と話したところ、顔を上げてにっこり笑いながら「Thank you」と答えてくれました。本当に「the best moment」でした。
 で、写真がその「サイン入りCD」。わかりますか?右上にある「渦巻き」が(笑)。これがサインです。なんだこれ(笑)?実は順番を待っているときに後ろの2人連れの会話で「以前にもサインをもらったことがあるけど、ジョンのサインは年々いいかげんになっていく」というのが聞こえてきました。で、どんな経過をたどったのかは知らねども、今はこんな感じです。実際には1人1人とちゃんと握手して、丁寧に応対していたので「Jon」くらい書く時間はあるだろうと思うんですが。でもこれはこれですね。ちょっとフィル・スペクターのサインを思い出しちゃいました。こうして書いていてコンサートを思い出していますが、暖かいムードだったなあ。音楽としてもいいものでした。これからもいつまでも元気で活動を続けてもらいたいものです。僕もずっと応援しますよ。

 追記:「You Lift Me Up」のときにスクリーンに映っていた「ソンブレロパイナップル君(本名知らず)」はかわいかったです。あのキャラでTシャツ作れば売れたのに。
 追記2:恒例の「童謡コーナー」は「チューリップ」と「さくらさくら」でした。「さくらさくら」の時は「初めて日本に来たときに歌った」と話していたように思います(ちょっとヒアリング自信なし)。