それは19年前のことでした・・・

shiropp2006-04-25

 今日、帰宅してから探し物をしていて、本棚の隅から出てきたチラシです。見出しに「BIG NEWS ビートルズ・デビュー25周年記念 ビートルズCD世界同時発売」とあります。これは、日本の代表的なビートルズのファンクラブが会員向けに送ったもので、記事の内容からすると作られたのは1987年1月のようです。
 「1987年1月7日、ロンドンにあるEMI本社で重大ニュースが発表された。『ビートルズのCD全世界同時発売決定・・・・』」という出だしの記事で、その年の2月に最初の4枚が、そして年内にオリジナル・アルバムがすべてCD化されるという内容です。このときの発表は遅延などなく、予定通りリリースされたのはみなさんご存知のとおりです。
 2つ折のチラシの中面を見ると大きく「まるでマスターテープを聴いてるようだね」という文字が見えます。記事にも「ビートルズの録音を変に加工せず」「マスターと同じ状態で(中略)楽しむことができるようになる」とあります。
 僕はこれを読んで、なんだか感慨にひたってしまいました。そうか、このころのCDというのは、ものすごく夢を持ったメディアだったんだなあ、究極の音が手に入るように思われていたんだなあ。
 現実はもちろん、そんな単純ではありませんでした。前に「クリムゾン・キングの宮殿オリジナル・マスターもの」について書いたときに、デジタル・リマスターのことを話題にしましたが、そのときにKENNYさんに教えてもらったところによるとCD化のためのリマスタリングも日進月歩で、CD黎明期のマスタリングは今ほどのクオリティを持っていなかったそうです。
 確かに最近の再発ものはみんなリマスタリングが進歩していて、素晴らしい音質になっているものも多いですね。ビートルズも、最近はあちこちで「いつになったらちゃんとリマスタリングするんだ?」という声が上がってきました。アメリカ編集のアルバムのCD化の際の音質向上なども、そういう「やがて来るその時」への布石のような気がします。そういえば、アップル(マッキントッシュiPod作ってる会社ね)とアップル(ビートルズが作ったほうの会社ね)の裁判で、やっとアップル(ビートルズが以下略)が「デジタルリマスタリングして、そのうち出すよ」ということを言い出したんだそうで、ファンとしては1日でも早くそうなって欲しいと思います。
 上述のチラシを読んでいたら、当時のことを思い出してしまいました。なんだかんだいって、わくわくしながら発売日を待っていました。実は発売日当日は就職先の会合のある日で(この年の4月に僕は社会人になったんです)、昼からだったその会合に、僕はレコード屋で買ったこの4枚のCDを持っていったんです。帰りに買っていけばいいのに、それまで待てなかったんですね。
 このとき買ったものは、もちろん今でも持っています。確かに音が良いかと言われれば(今の基準からは)「うーん」という水準だし、モノラルしかないというのも物足りないです。それでも、嬉しかったなあ。モノがビートルズだと、記憶や思い出もコミになっちゃうので、ちょっと不公平かも知れません。
 素晴らしい音でまたビートルズの音楽が聴ける日が来るのはもちろん心待ちにしていますが、それでもやっぱり、このときに買ったCDも、手放したり聴かなくなったりはしないで、大切に手元に置いておくことになるんでしょうね。

ウィズ・ザ・ビートルズ

ウィズ・ザ・ビートルズ