感激のストーンズとがっかりの「ノルウェーの森」

 昨日のWowwowで、ローリング・ストーンズのさいたま公演の放送がありました。もちろん観ましたよ、というか録画しました。録画しているとリアルタイムでは別の用事やらザッピングやら、ちゃんと観ないで過ごしてしまい、見返していない今はきちんと感想は述べられないんですが、断片的に観た感想はというと、、「凄い、カッコいい」の一言です。当たり前ですが東京公演の興奮が甦ります。曲目や曲順は東京の2日間を足して2で割ったような感じでしたね。でも「Midnight Rambler」の後「Gimme Shelter」ではありませんでした。東京の2日目でこの曲順で演ってくれたときの「Gimme〜」が始まった瞬間の戦慄はすごかったので、追体験できなかったのはちょっと残念。でも、全体的にはそんなことささいなことだと感じます。
 今日はテレビ朝日系「題名のない音楽会21」で「ノルウェーの森」を題材に民族楽器を特集するというので録画までしたんですが、見終わった感想は「期待したほどじゃなかった」というものでした。冒頭と途中に来日時の映像が流れたことと、「今年は来日40周年、そのビートルズの影響の一つに民族音楽への興味をかきたてた」という説明があったことくらいで、あとは特にビートルズには関係なく進行しました。
 いえ、別にビートルズがクローズアップされなくてもいいんです。「The Inner Light」とか「Within You Without You」とか演奏してくれても、僕のような人間は楽しめても他の人たちは「?」でしょう。そのへんはいいです。問題は、民族音楽・民族楽器への言及がいかにも浅く、ちっともその魅力を説明していないことでした。中東やトルコ、インド、バングラディシュの楽器が説明されても(もちろんシタールやタブラもインド楽器として登場)、その音色をどのように聴かせるのかと思ったら、日本の有名な曲をオーケストラで演奏し(編曲は青島広志氏)そこに乗せるという方法。だからそれぞれの楽器が、楽曲の文脈まったく無視で登場し、少しも本来の持ち味を出せていませんでした。今どきこれはないでしょ?
 今はちょっとした規模のCD屋でも民族音楽のコーナーくらいあるし、ちゃんと聴くまでいかない人でも「そういう世界がある」ということはわかっているはずです。だから今なら、それぞれの楽器の本来奏でるべき音楽を(短くていいから)演奏して、オーケストラとの共演はもっとも効果的なところ(今回の番組でいうとラストだった「ノルウェーの森」)のみにするとか、そういう構成でもいけたはずです。
 僕はこの番組は好きでいつも観ているのですが、なんか今日のようなものを観て、制作している人たちの「クラシック中心の考え方」=この番組の視聴者にはクラシック以外の音楽は浸透していない・「辺境の音楽」は親しまれていない、だから親しみやすいように自分たちが(自分たちが本流だと思っている)一般的なスタイルに編み直して提供しましょう、これならわかるでしょう、という考えが透けて見えたような気がします。
 この番組はかつて黛俊郎が司会だったときにもビートルズを取り上げて、いかにも権威主義的な番組を作っていましたが(もう記憶があやふやなんで詳細は述べませんが、ビートルズファン、ロックファンが高齢のクラシックファン、ジャズファンと話をした時に感じる、あんな感じです)、ハネケンでこれはまずいでしょう。ビートルズをダシにしたという番組でしたが、どうせダシにするならもうちょっとましなものにしてもらいたかったです。ダシにするところまでは大いに許しますんで、もっと「観ている人を信頼した」番組にして欲しいです。
 ふう、今日はあとDVDで「サウンド・オブ・ミュージック(ファミリー・バージョン)」を観て、夜はBS2でアニメの主題歌特番を観て、それもみんな書いて「今日はテレビばっか観てました」という話にするつもりだったんですが、「題名のない音楽会」で興奮してしまい、そこまでいけませんでした(笑)。「サウンド・オブ〜」は話題の「歌も吹き替えた」ものです。予想よりもよかったです。これは島田歌穂の功績が大きいです。これについてはまた改めて書きます。絶対に。なぜ「絶対」かって?もちろん大好きな映画、大好きな音楽だということもありますがもうひとつ、舞台になったザルツブルグには、行った事があるんです。つまり、映画に映っている場所のいくつかは実際に見ているんです。なので必ず書きます。というわけで、今日は「さようなら、ごきげんよう」を唄いながら終わりたいと思います。おやすみなさい。