12月8日

 今日はジョンの命日でした。
 毎年12月8日はジョンかビートルズの曲だけを聴いています。今日はジョンの「Anthology」の2枚目(「Sometime In New York City」と「Mind Games」のあたりのライヴやアウトテイク)、そして「Live Peace In Tronto」を聴いていました。
 「Live Peace In Tronto」は皆さんご存知のとおり、ほとんどブッツケ本番でやったというプラスティック・オノ・バンドのデビューコンサートですが、いつ聴いても、あのエピソードは本当なのかなあ?と思うほどいい演奏です。もちろん荒い感じはしますが、リハ不足がかえって演奏の迫力を増している感じがします。それにリズム隊の2人が素晴らしいです。ドラムのアラン・ホワイトは、後にイエスのメンバーとして30年以上あのバンドの屋台骨を支える人で、ジョージのアルバムにも参加していますが、ここでも実に見事に「音楽を支えて」いますね。
 そして主役のジョンですが、僕はけっこう「この現役感覚はすごい」と思っています。このときジョンにとっては、観客の前でのロック演奏という意味では3年くらいブランクがあって、その間にロックのライヴ内容も大きく変わっています。で、素材がスタンダードのロックンロール主体なんで目立たないですが、このアルバムで聴ける実際の演奏はクラプトンも含めてすでに「ニューロック」(死語ですね)の文脈で展開しています。
 ふつうこういう場合、本人の才能や意欲とは別に、どこかズレちゃったような感じになりやすいんですが、ジョンは全然そんな感じがしません。ジョンのプレイだけ注意して聴いても、なにか「新しい時代に合わせた」という感じはしなくて、いつものジョンらしい内容です。なのに違和感がない。そこに気づいたとき、僕は改めてジョンの才能のスケールがいかに大きいか、ジョンの感覚が(当時の)ロックの行くべき方向とシンクロしていたかを知り、感服しました。
 ジョンの魅力はどこにあるんでしょう?ジョンはどうしてこれほど大きな存在になっていったんでしょう?人気ロックバンドのリーダーだったから?愛と平和を歌ったから?突然悲劇的に世を去ったから?こうやって分析していくと、なんだかわからなくなっていきますよね、僕だけかな?どうしてこんなにジョンの事が好きなのか、実は的確な言葉や理屈は見つけにくいです。でも今日トロントでのライヴ盤を聴きながら、ジョンのあの声とギター、そしてその音楽そのものの持つ「変わらない」魅力が理由なんじゃないかな、と思いました。答えははっきり出た訳ではないですが、、、。