iTunes Storeで発見 不思議な競演

 先日YMOの「RYDEEN79/07」をダウンロードしたのをきっかけに、久しぶりにiTunes Storeをうろうろしていたら、「歌謡曲」のカテゴリに行き当たりました。僕は小学6年生でフォークを聴き出すまで持っているレコードと言えばアニメや特撮といった子ども番組の主題歌シングルくらいで、中学に上がると洋楽に行ってしまったので、いわゆる日本の流行歌や歌謡曲に(レコードを買うほど)熱中したことはなかったんですが、さすがに大ヒットした曲は知っています。ITunes Storeでそのすべてが揃うわけではないですが(いつも思うんですが、不思議な品揃えですね。アグネス・ラムのアルバムとかが買えるのはマニアにはうれしいのかな?)、視聴しては懐かしがっています。僕が小学生高学年〜中学生というと、キャンディーズアグネス・チャンフィンガー5などの人気がとても高かった(僕の記憶では、山口百恵はナンバ−1の存在ではなかった気がします)時期ですが、もうひとつ、ピンク・レディーの全盛期にあたります。
 僕は中学生でもう洋楽少年でしたから(まあ、最初はベイ・シティ・ローラーズでしたが)、ピンク・レディーに熱中するクラスの男子とは距離を置いていたんですが(イヤなガキだね我ながら)、それでも曲は全部知っていました(クラスの友達は振り付けまで知ってました)。あの頃、ヒット曲はみんなが知っている感じでしたね。僕の妻はそのころ小学生低学年だったんですが、今でもピンク・レディーの主要なヒット曲は手振りくらいはできます。すごいなあ。それほど売れていたんですね。ITunes Storeにはけっこうたくさん彼女たちの曲が売っています。僕のように「わざわざCDを買うほどのファンではないけれど、何曲か聴きたい」人間には重宝です。
 で、こんなに引っ張って本題です。ITunes Storeで売っているピンク・レディーのシングルに「波乗りパイレーツ」というものがあります。これは1979年の夏に発売された曲で、このころからピンクレディーの人気は下降線をたどり始めます。僕の記憶ではこのころはまだ大人気だったと思うんですが、妻はもう知らない曲だと言います。ちょうどアメリカ進出あたりの時期じゃないかな?曲は阿久悠作詞・都倉俊一作曲の黄金チームで、曲は悪くないです。
 なぜ僕がここでこれを紹介するかというとですね、もう有名な話なんですが、このシングルのB面に、同曲の「U.S.A.吹込盤(ママ)」が収録されていて、そのコーラスにあのビーチ・ボーイズが参加しているんです。<U.S.A.吹込みメンバー>として、マイク・ラブ、カール・ウィルソン、ブルース・ジョンストン、それにブライアン・ウイルソンの名前が記載されています(もう一人、ポール・フィエルソという人も参加しています)。A面の同曲が王道ピンク・レディーという感じなのに対して、B面はゆったりのびのびしたバンドサウンドに乗ってリードの2人が気持ちよく歌い、それにあの、ビーチボーイズのコーラスがかぶってくるという感じで、なかなか楽しめます。編曲はコーラスにも参加していたポール・フィエルソという人がやっています。この人、僕は名前に記憶がなかったんですが、マイク・ラブ関連の人のようです。つまり、広い意味でビーチ・ボーイズ人脈ですね。そうそう、編曲で思い出しましたが、イントロと間奏で、セックス・ピストルズの「Anarchy In The U.K.」のフレーズを演奏しています。時代を感じさせるアレンジですが、わりとうまく処理していて、違和感は最低限です。
 この競演、どうして実現したのか、どうもはっきりわかりません。1979年のBB5というと、あの「L.A. Album」(スマハマが入っているやつです)を出し、「Japan Jam」という野外コンサート(今ならフェスとかいいますね)のために来日したころ(ハートやサザン・オールスターズと一緒に出演しているはずです。記憶が確かなら)。ブライアンの精神状態はあまりよくなくて、ステージにいても何をしているのかよくわからないという時期だったはずです。そんなときに、アメリカ進出の最中だったとはいえ、このレコーディングは不思議です。ビーチ・ボーイズ方面から調べるからわからないのかな?ピンク・レディー方面から調べたらなにかわかるかな?でも僕、そっち方面には疎いからなあ?
 このバージョン、今までは限られた編集盤にしか収録されていなくて、その意味で入手困難なものでしたが、iTunes Storeで販売され始めたことで(こちらでどうぞ)誰でもすぐに聴く事ができるようになりました(200円、毎度あり!)。僕も買いました。さっきから繰り返し聴いていますが、なかなかいいなあと思います。「UFO」や「ウォンテッド」のような「耳タコ」な名曲と違って、新鮮な気持ちで聴けるところもいいです。聴いているとなんだか、彼女たちの他の曲も欲しくなってきます。まずいなあ、それがあっちの「思う壷」だったりして(笑)。