長文だけど小ネタ 五輪1年前に思い出話(笑)

 いつもブログにコメントをくださるlazyさんが、ご自身のブログで中国人のケンカは日本のそれとは違い、野次馬が取り巻き、ケンカしている双方について賛同したり反対したりと「当事者として参加」している、熱い人たちだということを書かれています(要約が間違っていたらまずいので、こちらでご確認ください)。
 それを読んで思い出したことがあったので、今日はそれを書きます。
 もう十数年前ですが、僕の父は仕事の関係で2年ほど中国の某都市に滞在していたことがありました。で、せっかく身内がいるのだからと思い、2回ほど中国に行ってきました。その2回目、父と一緒にバスを待っているときに、それは起こりました。ターミナルに入って来ようとしたバスと軽トラック(だったか乗用車だったか)が、ちょこっと接触をしたんです。ちょこっとですから大きな破損もなく、ケガ人もなし。もともとあっちこっちへこんだりと塗装がはげているような車ですから、こっちから見ればどうってことない事故でした。日本なら警察に来てもらい、事故証明をとって、という具合に、ある意味冷静に処理するようなものです。
 ところがそのときは違いました。どちらの運転手も車から降りてきて、大声で怒鳴り合いが始まったんです。というか、僕には怒鳴り合いとしか思えないような勢いで何事か話し合っています。役所とか警察を呼ぶとかいう感じではなくて、ひたすら相手に向かってすごい勢いで大声を上げています。そのうち、その2人の回りには通行人が集まりだし、当事者2人と一緒に騒ぎ出しました。加勢しているのか野次でも飛ばしているのか止めようとしているのか、とにかくみんな大声でまくしたてていました。当の2人はどっちも引かず、騒ぎは終わりません。
 そのうち、騒ぎを聞きつけて若い警官が1人やって来ました。僕はそのとき「これでこのケンカも終わりだ。中国の警官の仕事ぶりが見られるぞ」と思ったんですが、事実はそうはいきませんでした。その警官が何を言っても誰も相手にしないんです。確かに当事者2人は警官よりもずいぶん年長に見えました。だからなのか、若い警官がどうやって話しかけても「うるさい!若造は引っ込んでろ!」みたいな感じ(実際どうだかはわかりませんが)で、そのうちその警官は黙ってしまいました(笑)。
 僕はそれを見ていて、その若い警官が可哀想になってくるのと同時に、あの国の人の、ものすごいパワーを見たような気になりました。中国は社会主義国で、その社会体制の国では大体官憲は威張っていますが、そこではそんな建前が通じない、生の生活現場という感じで、事の真偽、是非はともかく、「すごいなあ」という感想を持ってしまいました。そのうち僕たちの乗るべきバスがやって来たので、ケンカの結末までは未確認なんですが、滞在していた父に聞いた話では、中国では、ケンカは必ず回りを人が囲んで大騒ぎになる、これは誰にも止められないということでしたので、そのときも当事者が納得するまで(回りのみんなも含めて)続いたのかも知れません。
 今日8月8日は、北京オリンピックまであと1年ということらしいです。今回の五輪については、中国製商品の安全性の問題の報道や、急ピッチの建設に伴う各種の社会的軋轢などが報じられており、いろいろ大変そうです。中にはけっこうシャレにならないものもあり、部外者ながら心配になることもありますが、あの「熱さ」や「行動力」を良い方に向けてがんばってもらいたいものです。
それにしても、あの若いおまわりさん、あのとき一体、どうやってあの現場を離れたんでしょう(笑)?

追記:中国の名誉のためにひとつ追記します。日記に書いたように僕は父と一緒にバスなどで移動することが多かったんですが、バスに乗ると必ず、父(当時は50代半ばくらい)は席を譲られていました。譲ってくれたのは子どもです。本当に一度の例外もなく。とても印象的な光景でした。とりわけ直前に「ケンカと野次馬」を見た時など(笑)。きっとどちらもあの国の特徴なんでしょうね。