松村雄策さんのトーク&サイン会に行って来ました。

shiropp2007-09-17

 昨日16日、渋谷のディスクユニオンまで、松村雄策さんのトーク&サイン会に行って来ました。これは先月発売になった松村さんの再発紙ジャケCD3枚同時購入特典で行われたものです。
 松村さんはけっこうたびたびトークライヴを開催されていますが、僕が聴きに行くのは今回が2回目。1回目はというと、12年前「Anthology1」発売記念に、当時原宿にあった「Get Back」が開催したもの以来です。このときはトーク終了後の質問コーナーで僕がした質問について、ライヴ終了後説教をくらうという(笑)いい思い出があります(この時のことはこちらの日記に書いています)。松村さんは忘れているかも知れませんが、僕は忘れようがありません。なので、今回は観客として楽しむ以外に、あのときのことを一言お詫びしようと思い立ち、手土産(僕の地元の、美味しいと評判の洋菓子)を持参して行きました、渋谷へ(笑)。
 ringoさんのキルト展以来ですから、ちょうど1週間ぶりの渋谷ですが、今回はセンター街を抜けてディスクユニオンへという、かつてはしょっちゅう歩いていたあたりです(レコード屋巡りでですが)。ここのお店に行くのもずいぶんひさしぶりだなあ。でもあんまりムードは変わっておらず、ちょっと嬉しかったです。整理券配布するまでの間お店であれこれ見ていたら、欲しいものがちらちらあって、結局何枚か買ってしまいました。全部中古盤。アート・ガーファンクルのライヴからフー・ファイターズまで、支離滅裂なセレクト数枚。ちょうど会計が終わった瞬間に整理券配布が始まったので、僕は1番をもらえました。
 その後、8時にいったんお店を出され、10分後に整理券番号順に入場。お店のレジがステージ(?)になって、観客はその前に立って並ぶという感じです。僕は1番松村さんに近い、ど真ん中に陣取りました。
午後8時半、アナウンスとともに松村さん登場、いよいよトーク開始です。
 今回のテーマはずばり、松村さんの「歌手時代」のことについて話すということで、ディスクユニオンの方が進行を行い、プロデビューする時のエピソード、物書きがレコードを出すといってさんざん叩かれたというお話し(これは過去何回かご本人が書かれていることですね)、引退コンサートの当日風邪を引いて声が出なかった(コンサートまでに出るようになったそうですが)など、ファンには面白い内容でした。メインは「ご本人による全曲解説」で、ファーストの1曲目からラストアルバムの最終曲まで、どのようなことを歌ったのか、レコーディングではこうだったなど、実に興味深いものであり、また「大変だったんだなあ」と思えるようなものでした。曲解説のときも、ご自身の音楽活動を振り返ってのお話しにも頻繁に「ドアーズ」「ジャックス」の名前が登場し、「ビートルズ松村雄策」とは異なる側面(僕のようなファンにはなじみのあるものですが)が窺える内容でした。聴いているのは大体僕と同世代かちょっと下くらいの男性ばかり。トークの最初に松村さんが「予想はしていましたけど、本当に男ばかりですね」と話されていたのがおかしかったです。そうそう、曲の解説時や、未発表曲についての言及のときに、ちょこっとワンフレーズ口ずさむときがあったんですが、その声はまさしくあの「松村雄策」で、僕はそのたびに心の中で拍手していました。
 さて、トーク終了後にサインです。僕はまたもや1番目に並ばせてもらえ、最初にサインをいただけました。まずは手土産をお渡しし、持参したCDと本にサインをしてもらいました。サインをいただきながら「12年前ゲットバックで○○(一応名は伏せます)との論争について質問してしまったのは私です。その節はすみませんでした。」と話したところ、笑ってくださいました。内心どう思われたかはともかく(そのことを憶えてらっしゃったかも尋ねませんでした)、きちんと直接お話しできたので、主観的にはよかったと思っています。そのとき「ブログをやっているんですが、今日のお話しをどこまで書いていいでしょうか?」とお尋ねしたところ、「具体的な内容には触れないでほしい」ということでした。トークの中では実際にけっこう具体的な人間関係や職名などがでてきたので(人名はほとんど出ませんでしたが)、そのあたりを慮っているのと、基本的にこういうライヴは、その場にいた人だけの楽しみにしたいという気持ちの表れだと思います。なのでこの日記でも、内容に踏み込んでいる部分は、紙媒体などでもうご本人が書いたことのあることのみ書いています。
 2番目にサインをしてもらっている男性は、トークの中にも登場した「未CD化曲」が収録されている市販のカセットを持って来ていて松村さんに手渡していました。すごい人がいるなあと思って、偶然帰りのエレベーターでご一緒したときに少し話しをしたんですが、この方もビートルズ関連のサイトを運営されているとのことでした。12年前の説教の話しをすると笑ってくださいました。帰宅してからその方のサイトを見ましたら、大変立派なものでした(こちらです)。僕のブログとは大違い。やっぱり松村さんのファンはすごい人が多いなあ。
 今回もトーク後に質問コーナーがあり、何人かの方が非常にマニアックな質問をしていました(その質問も、その回答も全部内容がわかってしまうような人たちばかりだったのがまたおかしかった)。僕は今回質問しませんでしたが、本当はひとつ訊きたいことがあったんです。それは
「音楽活動をしていた時、一番嬉しかったことはなんですか?」
 ということです。今回の話しでも再三出ていましたが、このころのことを松村さんご本人は、非常に報われなかった時期としてとらえています。今まで読むことのできた文章もほとんどがそうでした。でも本当にそうなのかなあ。少なくとも僕は今回の3枚のレコードは価値のあるものだと思っています。そんな作品を残すことができた時期に、松村さんのような感性の人が何も感じないということもないだろうと思います。そのへんのことをお訊きしたかった。でもまたお怒りに触れたら、今度こそ出入り禁止になりそうなんで止めておきました。この質問はいつか来てほしい「松村雄策全曲収録ボックス記念トークライヴ」の質問コーナーにとっておきます。
 トークの中で「長生きする保証はない」(ちょっと文脈すっとばした引用ですが)と話されていた松村さんですが、そんなこと考えないで、これからもずっと元気に活動していってもらいたいと思います。松村さん、ありがとうございました。

定本渋松対談・復刻版

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