ジョージの暖かさ

 日本時間では明日ですが、11月29日はジョージ・ハリスンの命日です。もう6年も経ったんですね。
 ちょっと前のビートルズ関連のオフ会の席で、みんなであれこれ話していたときにジョージの話題になりました。いろいろな発言がありましたが、参加したみなさんが全員ジョージのことを好きなんだということが窺えて、とても嬉しく思いました。ジョンやポールの存在が大きすぎていつも割を食っていたジョージですが、今ではその作品もいつでも入手できるようになり(配信まで始まりましたね)、その音楽も人柄も、ちゃんと正当な評価を受けられています。評価が低かった時代、作品が廃盤だった時代も覚えている者としては(自分自身、ジョージに冷淡だったこともあります)、本当に嬉しいし、本当に素晴らしいものは必ずみんなの心に届くんだなと思います。
 先日本秀康の「レコスケくんコンプリート・エディション」が出ました。これは以前出ていた「レコスケくん」に、その後発表されたものや未発表のものをプラスした「増補版」ですが、このマンガにもジョージの話題はいっぱい出てきます。もともと作者の本氏はジョージの大ファンで、当然レコスケくんも大ファンです。そのどれもがファンならばニヤリとしたり共感したり感動したりできるものばかりです。これはぜひ実際に読んでもらいたい名作ですが、巻末にレコスケくん他主人公グループがイギリスを旅行するというマンガがあります。アビイ・ロードの横断歩道を歩いたり、アップルビルの前に立ち、iPodで屋上コンサートの音を聴きながら、屋上にビートルズがいると想像してみたりと、ファンならいかにもやりそうなことをしながら、最後はジョージの家(フライアー・パーク)に行きます。そこで「Is’nt It A Pity」を聴く場面があるんですが、ここが僕には感動的でした。決して大げさな描写でも絵柄でもないんですが、なんだか胸に迫ってきて。作者の本氏は実際にここに行かれたとのことで(別の書籍での鈴木カツ氏との対談に言及あり)、この作品はそのときのことを元に描いているんでしょう。「コンプリート・エディション」には付録でポストカードがついていたんですが、フライアー・パークをバックにレコスケくんフィギュアが写った写真で、ジョージに対する愛情をここまでストレートに表明したというのはすごいことだと思います。それはつまり、ジョージの存在がいかに大きく、そして暖かいものだったかの証明になるような気がします。
 今聴いているのは「33 1/3」。最初に書いたように、ダークホース時代の作品はリアルタイムよりも現在の方が評価が高いですが、これはあんまり話題にならないですね。でも聴いてみると、やっぱりジョージにしか創れない暖かな作品です。フライアー・パークのことを歌った「Crackerbox Palace」も、このアルバム収録です。
 これから冬になると、ジョージの作品を聴くことが多くなります。それはあの暖かさを求めてなのかも知れません。

Thirty Three & 1/3

Thirty Three & 1/3