ナクソスで新たな喜び発見

 ちょっと前のjinkan_mizuhoさんのブログに、バーンスタイン交響曲のことが取り上げられていました(こちらをクリックしてください)。僕は知らない曲だったんですが、興味深く読ませていただきました。そして、この曲を発売しているのがナクソスだと書いてあって「ほう!?」と思ってしまいました。
 クラシックファンにはもう説明不要のナクソス・レーベル。いわゆる廉価盤を専門に出しているレーベルで、価格もだいたい1枚1000円前後(900円とかで購入したこともあります)。有名どころの曲も多いですが、むしろ世界的には無名の作曲家、演奏家を積極的に紹介しています。僕はごく初期(20年近く前)に有名な曲のものを何枚か聴いて、「これはちょっとなあ、、、、。」というのに当たったせいで長いこと「安かろう・悪かろう」という先入観を持っていたんですが、最近購入した何枚か(これまたあまり知られていない曲と演奏家)がとてもよくて、調べてみたらすっかり評価は変わっていました。特に日本の作曲家シリーズは、普段ほとんど聴く機会のない我が国の作家にスポットを当てたもので、企画としても内容としても素晴らしいです(須賀田磯太郎もこのシリーズから出ました)伊福部先生のだけは内容がちょっとナ二ですが(笑)。どうも調べていくと、最初からちゃんと志を持ってレーベルを立ち上げたようで、見抜けなかった僕の見識不足だったのかも知れません。もちろん大家名演を聴くことも必要ですが、まだ馴染みのない、けれども魅力的なものを、求めやすい価格で流通させることで、リスナーの楽しみを深めてくれるという意味で、とても良心的なレーベルだと思います。
 で、jinkan_mizuhoさんの文章に影響されてクラシック売り場に行ったところ、こんな本を発見しました。「このNAXOSを聴け!」(松本大輔著・青弓社)。
 これは、ご自身もクラシックCD通販(アリアCDというお店だそうです)を営まれている著者が、ご自分の耳で聴き、これは!と思われたナクソスのCDを紹介している本です(タイトルに見覚えがあるのはご愛敬かな)。これがとても面白い。ベートーヴェンモーツァルトなども出てきますが、ほとんどがあまり知られていない・知ってはいても聴いたことのないものばかりが登場します。この紹介文がとても面白い!ある時は感動的に、ある時はユーモラスに語られる文章を読んでいると、どのCDも聴きたくなってしまいます。ブリテンなんて「戦争レクイエム」と「青少年」しか知らなかったんですが、それ以外にもいくつも作品があり、そしてそのどれもが、何らかの形で戦争に関係があるなんて初めて知りました。僕の好きなヒナステラも出ていました。日本の作曲家についての文章は、なかなか紹介されない人ばかりで、手軽に総覧できるという意味でも貴重です。ナクソスが紹介している日本の作曲家には年代的な特徴があるという指摘と、それに基づいた解説はとても興味深いです。そしてなにより、この本で紹介されているたくさんのCDは、ほとんどが約1000円だという、この驚き。ショスタコーヴィチ交響曲全集が3万円もした20年ほど前(買いましたよ)に比べたら、信じられないほどです(苦笑)。
 今聴いているのは「フィンランド管弦楽名曲集」。いきなり上記の本では紹介されていないもので恐縮ですが(笑)、これもなかなかいいものです。冒頭の「フィンランディア」以外はまったく知らない作曲家のものでしたが、どれもとても美しい。音楽性は違いますが、ロシアやチェコなどの曲にも通じる「ドイツ・フランス主流派」からはちょっと離れた、独特の美意識を感じさせる曲ばかりです。どの曲も非常にロマンティックであり、伸びやかでもあります。1000円で買える音楽の新たな喜び。なんていうと大げさですが、こうしたレーベルの活動は応援していきたいです。
 でも繰り返しますが、伊福部先生のものはちょっと、、、(笑)。

このNAXOSを聴け!

このNAXOSを聴け!