祝!「このぉ、ちょんちょん!」正式復活!

 映画「ブレードランナー」のDVDボックスが出たそうです。まだ買ってませんが。例によって特別付録つきの限定版と通常版の2つが発売になったそうですが、今回は「Help!」と違って、興味は通常版です。というか、付録とか特典とかどうでもよろしい。僕にとって今回のボックス発売で最も惹かれるのは、今回初めて、オリジナル劇場公開版がDVD化されるということです。この映画は完全版だのディレクターズカット版だのが出て、結末まで違うバージョンが存在するわけですが、やっぱり僕にとっては最初に観たバージョンが一番です。というか、ああいう改変は観客をなんと考えているのか理解に苦しみますね。僕は「オリジナル」「完全版」「ディレクターズカット」すべて観ましたが、一番感動したのは最初のものです。監督の意向がねじ曲げられたということへは同情しますが、だから一度完成させた作品に手を加えていいということではないでしょう。こんなことはもう言い尽くされていることですが、一度世に出た芸術作品は、もう作者の私有物ではないんですよ。僕のような観客は、レプリカントの死の瞬間、手から離れた鳩が(映画の中で初めて見える)雲の切れ間の青空に向かって飛んでいくのに感動し、その死を目の当たりにしたデッカードのモノローグに涙したんです。ラストのホッとするようなレイチェルの寝顔にかぶる「…who does?」というセリフと、それに聞こえてくるヴァンゲリスの音楽は、どんな演出や脚本よりも、吉凶どちらにも転びそうな「行く末」を想像させるものでした。監督が勝手に「これが正調」と決めてかかった「ディレクターズカット版」ラストなんて、オリジナル版のラストの、あの「広がり」の足下にも及ばないものだと思っています。今回のボックス、きっとそのうち買うでしょうが、もしも単体でオリジナル版だけが出たら、そっちを買います(ビデオとDVDで、その他のバージョンも持っているし)。
 さて、マクラのはずが思わず熱くなってしまい長々書いてしまいました。今回のお題はこっちです。「空飛ぶモンティ・パイソン“日本語吹替復活”DVD BOX」発売決定!
 数日前にこのニュースを知ったときにはすぐには信じられませんでした。モンティ・パイソンをご存じない方はいらっしゃらないでしょう。約30年前、この番組が日本で初めて放送されたときは、納屋悟郎、山田康雄広川太一郎などの声優陣が出演した「日本語吹き替え」版でした。その後ビデオ化、DVD化される際に、マニアの間で「吹き替え音声も聞きたい」という要望が上がってきましたが、これまでは「吹き替え音声はマスター消失のため存在しない」とされてきました。それが復活!信じられない!というわけです。
 この番組の「吹き替え」の一部は、劇場公開用にスケッチを撮影し直した「モンティ・パイソン・アンド・ナウ」という映画の日本公開用に再録音されていて、現在はそのDVDで聴くことができますが、これがもう楽しいのなんのって!日本人が楽しむのならば、絶対に吹き替えの方がいいです。翻訳も素晴らしいし(単なる直訳ではなく、随所に工夫が感じられます。「ちょんちょん」とかね)、なにそろ声優さんたちの演技が素晴らしい。実は僕は、「Monty Python’s Flying Circus」はDVDボックス(字幕版)を持っているのに、吹き替え聴きたさに「アンド・ナウ」も買ったほどです。幻といっていい、いや、永遠に失われたと思っていたものが突然現れたという感じです。これこそまさに待望のリリースでしょう。つい最近の「ザ・シンプソンズ」声優事件などにあるような制作側の「吹き替えに対する認識の低さ」が目につく昨今の状況、また、「吹き替えか字幕か」が論争になるような択一的鑑賞法しか認めない観客のメンタリティなどにも一石を投じるものになるのではないか、と思っています。本当に素晴らしい。制作陣のご苦労は一通りではなかったと思いますが、本当に感謝しています。絶対買います。ありがとうございました。
 こうなると欲が出てきますね。先日出た「Help!」。これはやっぱり30年くらい前、けっこう頻繁にテレビで放送していたときの吹き替え音声があるはずです(ジョンの役を広川太一郎さんがやっていたんではなかったかな?富山敬さんも出ていたはず)。これも復活して欲しいなあ。これからリリースのものなら「Let It Be」。これもテレビで放送していたときの、かまやつひろしのナレーションを入れて欲しいですね。そういえば「Yellow Submarine」にも吹き替え版があったはず。「A Hard Day’s Night」は記憶が定かでないんですが、きっとあったでしょう。そちらもぜひお願いしたいですね。もちろんそうした「声」が入っていないものがオリジナルだということはわかっていますが、吹き替えの楽しさ、日本版という特性を生かす意味でも、こうしたものにも日を当てて欲しいです。ともかく、モンティ・パイソン日本語版発売まであと(約)60日。あと60日はがんばって生きていこう(笑)。