最近買った2冊の本

 今日は買った本についてちょこっと。
 ボン・ジョヴィがきっかけになってアメリカの音楽について少し学んでみようかと思い立ち、先日本を一冊買いました。「『アメリカ音楽』の誕生 社会・文化の変容の中で」(奥田恵二著 河出書房新社刊)。アメリカの大衆音楽についての書籍はそれなりに出ていますが、そのほとんどは黒人音楽などを出発点にしたもので(大衆音楽についての本なのでそれでいいんですが)、僕は今回、そっち方面以外に、新大陸への入植者である移民の音楽と、いわゆる「クラシック音楽」も含めた内容のものが欲しくて、この本を選びました。300ページ近い本の最初の70ページほどしか読んでいないのでまだ書評などは書けませんが、ここまでのところは知らなかったことばかり書いてあったので面白いです。
 著者は巻末の略歴を見る限りアカデミックな音楽を論じるのが専門の方のようで、そうなると(この本の後半に出てくる)ポップスやロック、ジャズなどについての論考がどうなるのか少し不安ですが(偏見かな?でもそういう例は多いので)、タイトルどおり、アメリカの歴史を、時間的にも空間的にも踏まえたうえでの論の進め方は興味を惹きます。特にアメリカのクラシック音楽については、個々の作曲家や、音楽史全体の中での言及は比較的多いですが、それがポピュラーミュージックとどう関連があるのかについて書かれたものは、今まで読んだことがありませんでしたので、この本がそのあたりについてなにか示唆を与えてくれるのではないかと期待しています。
 
 今日、買い物で外出した折、地元の本屋さんに寄りました。ずっと以前の日記に書いた、こだわりの品揃えで個性を出している新刊書店です(こちらにその日記があります)。音楽関係の本が揃っているので(冊数ではなく、仕入れる本を吟味している感じに好感が持てます。ジャズ関連の本が充実しています)それを眺めていて、ふと目にとまったのが、ジョイスの自伝「私のカメラがとらえたあなた」(ブルース・インターアクションズ刊)。
 ラテン音楽にはあんまり詳しくない、というか全く初心者の僕ですが、ジョイスがブラジル出身の歌手だということくらいは知っていました。「Astronauta」は持っていて好きなアルバムですが、その後買ったベスト盤(?)には曲によって心が動くものとそうでないものに差があって、まだファンというほど思い入れはないんですが、この本を手にとってみたら、とても不思議な美しさに満ちていました。実はまだ、実質的な意味では読んでいないんですが、店頭でパラパラめくってみたら、どのページもイメージがほとばしるような文で埋め尽くされていました。
 訳者あとがきを読むと、内容は単なる詩的な文章の羅列ではなく、ブラジルという社会にあってジョイス自身が思うことをきちんと述べたものでもあるようです。訳者(柴まりこ氏)はジョイス本人とも連絡をとりあいこの翻訳を完成されたとこのとで、斜め読み(にもなっていませんが)でもそうした労力や著者への思いが伝わってくるようなものでした。もう5年以上前に出版された本でしたが、今日こうして巡り会った(そして、ちょうど買えるだけのお金が財布に残っていた)ことを僥倖として、購入しました。明日から2冊の本を持って通勤です。肩凝ってるのに(笑)。どちらの本も、どちらかといえば僕にとって未知の分野についての本です。願わくばまた新しい世界が開かれますように。
 今流しているのはジョイス。買ったときはあまりのめり込まなかった「The Essential Joyce 1970-1996」。今度こそその価値に気づけるでしょうか?
 それではみなさま、おやすみなさい。いい一週間でありますように。

「アメリカ音楽」の誕生―社会・文化の変容の中で

「アメリカ音楽」の誕生―社会・文化の変容の中で