小ネタ 毎日新聞朝刊に「チューブラー・ベルズ」の文字が!

 うちは毎日新聞を購読しているんですが、今日の朝刊の投書欄に「テレビの露骨な模倣曲に驚く」という投書が掲載されていました。千葉県在住、50代の男性からもので、要約すると「テレビ番組やCMなどで『どこかで聞いたことがある曲』をよく耳にする。制作者は恥を知らないのか?」というものです。僕も同じような経験はありますので、概ね趣旨には賛成します。僕の場合はもうちょっと「それを面白がる」傾向がありますが(限度がありますがね)。
 ところでこの投書の方は、ご本人が発見した「模倣曲」をいくつか例として書かれているんですが、これがなかなか味があるんですよ。「『おもいでの夏』の主題曲をほぼなぞった」ものとか「ビゼーの『カルメン』にそっくりな音楽」「ラベルの『ボレロ』もどきの曲」など、いちいち具体的であり、間違いもありません(こういうタイプの投書や投稿では、こういう例示にかなりの割合で間違いや事実誤認があるんです)。僕がうれしかったのは、「アメリカ映画『エクソシスト』で使われた『チューブラー・ベルズ』」という表現があったこと。あの有名な曲は、使用された映画が有名すぎて、一般メディアではちゃんとタイトルを呼んでもらえることが少ないので(着メロでも「エクソシストのテーマ」と表記されていたことがあります)、このようにちゃんと書いてもらえるのはファンとしてうれしいです。
 これだけ具体的に書かれているということは、きちんとこの音楽を聴いておられるんだと思います。きっとこの方は、ご自分の愛する音楽を安直に剽窃して安穏としているメディア関係者に、なんとしても怒りを伝えたかったんだと思います。なんか、気持ちわかるなあ。いかにオリジナルの曲を愛しているかは、いちいち作曲家まで明記したところに強く感じます(もう一声「おもいでの夏」も作者のルグラン、「チューブラー・ベルズ」ではマイク・オールドフィールドの名前入れて欲しかったなあ。字数の関係で削除されたのかな?)。実は今日、夕刊には著作権法改正についての、真面目なスタンスながら舌足らずの記事がありました。そちらの「記者が仕事で書いた」ものよりも、この投書の方がずっと強く「音楽を愛する気持ち」が感じられました。こういう、音楽ファンが自分の気持ちを熱く語った言葉は、やっぱり心に響きます。
 投書に影響されて、今これを書きながら「Tubular Bells part1」を聴いています。ライヴ盤「Exposed」に収録されたライヴ・バージョン。実はマイクには、これとは別に、北米だけで発売された(らしい)未CD化アルバムがあり、そこにこれとはまったく別テイクの「ライヴ・バージョン」が収録されています。そっちの方が演奏がかっこよかった記憶があるんですが(クライマックスでスタジオテイクと同じように楽器の紹介アナウンスが入り、それが実にかっこよく曲をもり立てています)、そっちもCD化してくれないかなあ?「Exposed」テイクもいい演奏だとは思いますが。
 新聞の投書は、真面目に読むと「?」というものも多いんですが、今回のようなものもあるんですね。音楽を愛する者、ブログでですが自分の気持ちを書いている者として見習いたい態度だと思いました。いやもう、「チューブラー・ベルズ」と書いてくれただけで感謝感激です。千葉県在住のNさん、ありがとうございました。

チューブラー・ベルズ

チューブラー・ベルズ