2月10日 忌野清志郎完全復活祭

 昨日(2月10日)、日本武道館に「忌野清志郎完全復活祭」に行ってきました。ブログ仲間の(そしてロック大先輩の)lazyさんと一緒に。
 というわけで、当日のレポートと感想を書くわけですが、実は僕のブログ友の中にこれから開催される関西での復活祭に行かれる方がいらっしゃいます。その方にとっては、当日の模様をあれこれ(こんなオヤジブログで)バラされてもつまらないんじゃないかと思います。なのでこの文章では、極力ネタバレなしで進めていこうと思います。なので、あちこち変な感じになっていると思いますがご了承ください。
 武道館に入ってまずびっくりしたのは会場が見事に満員だったこと。当たり前?そりゃそうですが、実は今回、ステージが後方に幕を張らずどこからでも観られるようになっている関係でなのか、普通はある「死角になるのでお客さんを入れない」席が存在しなかったんです。だから、2階席の最後列までびっしりは当然として、どの方位もびっしりという、本当の満員状態でした。そんな満員の観客が、開演時間が近づくにつれて熱を帯びてくるんです。この日がどんなに「待たれていた」のかわかります(ちなみにそのステージ真後ろ席の方にもステージがあり、そちらにも走っていって歌っていました)。
 予定時刻を20分弱過ぎたところで客電が段階的に消灯、もちろん大歓声のなか映し出されたスクリーンの映像には、僕ももちろん、満員の観客が一瞬息をのみました。そこに映った映像は、今回の闘病が、僕たちが想像するよりもずっと過酷だったこと、歌手である清志郎さんにとっても本当に辛いものであったことを物語っていました。そしてそれがだんだん変化して、、、、。このあたりの演出と語り口は、まさにキヨシロー的で素晴らしいものでした。そしていよいよ開演。
 選曲はソロになってからのものとRCのものが実にバランスよく構成されたものでした。バンドの演奏は派手であると同時に実にテクニカルで手堅く、そしてサザンソウル、ロックンロール、そして清志郎さんの音楽に対する敬意に満ちていました。
 清志郎さんのボーカルは、最初の一声が聞こえるまでの不安が、聞いた瞬間に消え去ってしまうような、本当に「あのキヨシロー」の歌声でした。本当です。僕はなんだかんだ言って、少し変わってしまうのかな?それでも全然問題ないよ、などと勝手に考えていたんですが、こんな勘ぐりを蹴飛ばすようなものすごいパワーと歌唱力でした。当たり前のようなことを書いていますが、やっぱり心配でしたよ。病気のニュースを聞いたときには、それこそ縁起でもないことを考えてしまいましたし、その後の「順調な回復」という知らせも少しだけ不安でした(今から考えると正しいニュースだったんですけどね)。それが、もう説明不要、あの歌と声が(体の動きもMCも含めて)そこにありました。MCでは「オーケー、武道館ベイベー」などと観客を煽りながらも、戻ってこられたことについて喜びと感謝の言葉を口にしていました。基本的に湿っぽい演出のないコンサートでしたが、それは実に清志郎さんらしく、でも客席の僕たちにも、ステージ上のミュージシャンやスタッフにも、ちゃんと伝わってくるものでした。
 さて、ネットでの評判をざっと見た限りでも「泣けてきた」という声が多い復活祭でしたが、僕は泣きませんでした。もしかすると当日その場よりも今の方が感動しているかも知れません。実感が湧いてくるのに時間がかかったということでもありますが(もちろん最初から嬉しくってしょうがなかったですよ)、これにはわけがあります。とにかく楽しかった!上に書いたように、清志郎さんは今回、これ以上はないというコンディションで帰ってきてくれました。ご本人も「もうちょっと小さな声で、小さな会場でやろうと思ってたんだけど、ここに戻ってこられて嬉しい」というようなことを話してましたから、いろいろ不安に思われることはあったんだと思います。それを悟られないようにしたのか、本当に力強いパフォーマンスで、僕はまんまとそれにノセられてしまい、感慨に浸るよりも楽しんでしまったんです。
 それはコンサートの後半「スローバラード」が始まったときも変わりませんでした(これくらいのネタバレはいいよね)。イントロが鳴り出したときは心臓が止まるかと思ったほど感激した僕でしたが、曲が進み、清志郎さんが見事に歌い進めるうちに、「闘病生活から還ってきた」という感慨ではなく「素晴らしい歌声を聴いた」という感動をしていたんです。それくらいの完全復活ぶりだったということです。本当に見事なコンサートでした。音楽そのものが素晴らしいものでした。正直なところ僕はコンサートの途中は、今回の趣旨を一瞬忘れていました(このあたりの感じは、同行のlazyさんも同じように話されていました)。もしも今回の歌声に、少しでも衰えや病気の影が垣間見られたら、僕は違うものを感じたと思います。でもそんなものは微塵もなかった。もちろん胸に迫るものでしたが、同時に、僕にとっては「腰に来る」コンサートでした。これこそ本当の復活でしょう。こんなに素晴らしい日を迎えられたなんて!というふうに感動が迫ってきたのは、実は一夜明けてからでした(だから今、RCの音楽を聴きながらこれを書いている今の方が目が湿っぽいです)。
 今回の復活祭は、このあと関西方面でも行われます。それを待っているみなさん、あの曲もこの曲も演りますよ。もちろんあの人も登場します。アンコール1曲目がアレだったなんてビックリ!最後の最後では清志郎さんもちょっと声に詰まっていましたね。さすがに僕もあのときはこみ上げてくるものがありました。僕は2階席、ステージが全景観られるところだったんですが、終演後ステージから手を振る清志郎さんに向かって、舞台袖にいるスタッフもみんな拍手していたのが感動的でした。
 もう何も心配することはありません。清志郎さんは還ってきてくれました。もちろん大変な闘病だったと思います。でもそんなことを売りにするのではなく、歌声にすべてを託してステージに立っていました。そんな瞬間を共にすることが出来て、本当に良かったと思います。清志郎さん復活おめでとうごさいます。これからもいつまでもお元気で、ロックし続けてくれるよう願って止みません。ありがとうございました。
 ほんと、なんだか今の方が胸がいっぱいになってきたよ(笑)。
 

夢助

夢助

追記:来場者全員に配られた「快気祝い」のお品、最高でした。