男子フィギュアで流れた「ビートルズ・コンチェルト」

 金曜日は仕事で帰宅が遅く、フィギュアを見損ねてしまいました。浅田真央ちゃんが逆転で優勝したということですが、何かの番組で「冒頭の転倒シーン」のみ見ただけです。観たかったなあ。
 ところで、その前日のSPのとき、外国の選手がドアーズの曲で演技していましたね。曲は「Riders On The Storm」でしたが、画面に曲名が出て「by ザ・ドアーズ」と出たときはちょっと嬉しかったです。作曲者名ではなくグループ名というところがいいですね。
 昨日(土曜日)は、金曜日の反動で、男子シングルのフリーを最後まで観てしまいました。女子シングルばかりゴールデンでやって、ペアもアイスダンスも冷遇されている感じのフィギュアにあって、男子シングルは(何人か有力選手がいるおかげで)なんとか面目を保っているようです。放送時間が23時過ぎと聞いたときは「??」と思ったんですが、生中継でした。結果は「残念!でも健闘したね」というところですね。真面目な話、メダルこそ逃したもののいい試合だったと思います。こういう試合に日本人が登場することは、やっぱり嬉しいことです。
 ところで、日本人選手で小塚崇彦という人が演技したとき、ビートルズの曲を使用していました。画面に出た曲名は「ザ・ビートルズ・コンチェルト」だったと記憶していますが、「She Loves You」から始まり、「Eleanor Rigby」と「Yesterday」が続くもの。ピアノコンチェルトの形式に編曲されたものでした。僕はテレビを観ながら「どこかで聴いたことがあるぞ?」と思ったんですが、後でCD棚を探したら、ありました(笑)。自分で持っていたんですね。聴いたことあるはずだよ。
 これはそのものずばり「The Beatles Concerto」というアルバム。1991年に東芝EMIから出たもの(TOCE-7346)ですが、録音自体は1978年ということなので、僕が持っているものは再発かも知れません。ピーター・ロスタルとポール・シェーファーがピアノ、ロイヤル・リヴァプール・フィル演奏、指揮者はロン・グッドウィン、プロデューサーはジョージ・マーティンその人でした。
 内容はというと、テレビで流れた部分はまさに「ピアノ協奏曲」でした。テレビの部分が第一楽章に相当し、その後「Here,There and Everywhere」「Something」を主題にした第二楽章、「Can’t Buy Me Love」「The Long And Winding Road」を主題として使用した第三楽章と続きます。ビートルズをクラシックアレンジで演奏する企画モノは数多く、ビートルズファンとしてもいちいちチェックしていられないというのが本音ですが(そうした企画アルバムの大半は大したものではないですし)、このアルバムは、それなりに聴けます。必聴盤とまでは言いませんが、オーライな範囲。演奏の質は高く、録音も悪くないです。
 ライナーを読んで知ったんですが、指揮者のロン・グッドウィンジョージ・マーティンは旧知の仲で、1950年代にはパーロフォンで一緒に仕事をしていたそうです。ロンはその後映画音楽の作家として成功したと書いてあり、検索したら「素晴らしきヒコーキ野郎」や「ナバロンの嵐」はこの人のペンによるものでした。意外なところにビートルズ人脈は繋がっていますね。このアルバムではマーティンによる編曲はなくてプロデュースのみですが、クレジットに「An AIR LONDON PRODUCTION」とありますので、マーティンの主導によるプロジェクトのようです。
 上に書いたように、このアルバム、決して「絶対聴かなきゃ話にならない」というようなものではありませんが、内容は決して悪くも安直でもなく、ちゃんとビートルズに対する敬意が感じられるものになっています。少なくとも「ベルリン・フィルチェリスト」より上です(僕の主観では)。そのあたり、なんだかんだいってジョージ・マーティンの制作で、イギリス人中心で作ったものは違うんでしょうね。
 それにしても、こんなアルバムから採用するなんて、スケート関係者の選曲センスって、侮れませんね。
 

ビートルズ・コンチェルト/ロスタル&シェーファー

ビートルズ・コンチェルト/ロスタル&シェーファー