iTunes Storeでビートルズファンのお楽しみ

 前回の日記でiTunes Storeのクラシック商品について書きました。今日はお金をかけずにiTunes Store(以下iTS)で楽しんでしまおうという話しです。
 iTSにアクセスすると、右上に検索窓が見えます。ここにアーチスト名や曲名を入力すると、現在iTSで販売されているもののうち、何らかの形で一致するものが表示されます。表示されたものはダブルクリックすると30秒間は(何回でも)試聴できます。これでお目当てのアーチストや曲を探すわけですが、今回はこれを使って遊んじゃいましょう。この検索窓には何を入力しても(つまり、現在配信されていないアーチスト名なども)かまわないので、現在はiTSで販売されていないアーチストの曲名などを入れても検索されるわけです。‥もうおわかりですね、ここにビートルズの曲名を入れるというのが今回の主題です(笑)。
 これはすでに本秀康が「レコスケくん」でもやっていたことですが、例えば「All You Need Is Love」で検索すると、150項目ヒットします。すべてがあの「愛こそはすべて」ではないですが(アルバム名やアーチスト名、類似の単語が並んだもの、そしてもちろん同名異曲もヒットするので)、かなりの確率でビートルズのカヴァーがリストアップされています。ダブルクリックすると30秒試聴できますから、どんな感じかもわかります。ちなみに「All You Need Is Love」では、リスト第1位はパヴァロッティのもので、少し下にはウィーン少年合唱団があるのがおかしいです(後者は試聴レベルでは大したものではなかったですが)。
 こうやって、適当にビートルズの曲名を入力して、試聴したり未知のカヴァーを探索するのです。やってみて驚くのは、かなりマイナーな曲でも数曲はヒットすることで、こういうところからもビートルズの浸透度がわかります。僕がちょこちょこやってみての感想を書きますと、「It’s All Too Much」ではスティーヴ・ヒレッジのものがなかなか。実はこれはCDを持っているんですが、プロデュースがあのトッド・ラングレン、バックの演奏は当時のトッドのバンドであるユートピアがまるごと参加しているというものです。演奏もビートルズマニアのトッドらしいもので、ビートルズの曲としては異色といっていいフリーキーなアレンジがユートピアのセンスと溶け合った秀作です(そのぶん主役のヒレッジ色が希薄なんですがね)。
 「I Saw Her Standing There」は人気のある曲ですが、ここではボブ・ウェルチのものを。誰もが熱く演奏するこの曲を、ボブはクールに焼き直しています。抑制のきいた名カヴァーですね(これもオリジナルアルバムを持っています)。「The Night Before」のような地味な曲でもちゃんとヒットします。この曲では、Connie Evingsonという人のカヴァーがいいです。なんとビックリ実におしゃれなスムーズ・ジャズに変身しています。「Glass Onion」はオリジナルもトリッキーな魅力の名曲ですが、The Link Quartetのものはカッコいいファンク・ブルース調。この曲はオルタナ系のアーチストに訴求力があるようで、その手のアーチストのものが多くヒットしました。いくつかの曲でヒットした「British Invasion Era」というシリーズは、外国産の「カラオケ」でした。面白いのは、アレンジがあんまりオリジナルに似ていないところで(まったく違うわけでもないところがミソ)、こうしたものを日本人が作ると、本物そっくりに作り込んでしまいますが、そのへんの大らかさが楽しいです。逆に1曲もヒットしなかったものもあり「Only A Northern Song」はゼロでした。これは絶対にないだろうと思っていた「You Know My Name」は2曲もヒットして驚きましたが、試聴してみたら全く違う曲でした、残念。
 厳密にはビートルズではないですが、ちょっと意地悪なカヴァーで、「He’s So Fine/My Sweet Lord」というものもありました(笑)。Moon Williamsという人のもので、冒頭はもろシフォンズ(ボーカルも女性)、途中からジョージのあの名曲になるというもの。それ以上のヒネリはないですが、まあ、ファンとしてはいろいろ考えちゃいますね(苦笑。この文章を書くためにフルコーラス聴く必要があって、150円で購入しちゃいました)。
 ところで、こうやってあれこれ検索してみると、不思議なカヴァーが混ざっていることに気づきます。子どもが歌っているものです(ビートルズに限らず、いろいろなポップスの曲でも確認できます)。ジャンルを見ると「Children’s Music」となっています。要するに子ども向けの音楽なんですが、どうも英米ではロックやポップスを子ども向きにアレンジして子どもが歌うというものが商品として定着しているみたいですね。聴いているとなかなか楽しいです。そのジャンルでは僕は特にSusan Andersという人の「All You Need Is Love」がいいなと感じました。その曲は「You Can Close Your Eyes:Lullabies」というアルバムに入っていますが、このアルバム、「Circle Game」「I’ll Be There」「You’ve Got A Frirend」「Be My Baby」なども収録されています(実はこのアルバムは、2年ほど前に購入していて内容はよく知っています)。ほとんどギター1本の伴奏で、ちょっとハスキーな女性の声で静かに歌われるポップスの名曲は、子どもだけでなく大人の子守唄にもなりそうです。
 ビートルズのカヴァーというと有名なものも多く、それだけ集めたコンピレーションも出ているほどポピュラーな存在ですが、こうして検索してみると、改めてその数の多さと取り上げられているジャンルの多様さに驚きます。僕も全曲チェックを入れたわけではないので、まだまだ面白い発見があるかもしれません。iTunesというソフトがあれば誰でも(購入しなくても)できますので、ビートルズファンのみなさん、気が向いたらやってみてください。けっこう楽しいですよ。