フー・ファイターズ活動休止に思う

 何日か前になりますが、フー・ファイターズがしばらく活動休止をするというニュースが入ってきました。結成以来ずっと休まず活動をしていたので、このあたりで区切りをつけたいというコメントがありました。よく考えてみたら、もう10年以上大きなブランクもなく活動していたんですから、この言葉には重みがあります。
 カート・コバーンが亡くなったとき、僕にとってニルヴァーナとはカートそのものでした。まさか「ニルヴァーナのドラムの人」がこれほど才能にあふれ、自分の力でバンドを起ち上げ、そして世界的なスターになるとは思ってもいませんでした。その程度の認識でした。今では歴史が証明していますね。フーファイは間違いなく現在までの21世紀における最大のバンドのひとつです。
 フーファイの音楽は、非常に質が高いですが、ものすごい特徴があるわけではありません。パンクに大きな影響を受けたロックというか、21世紀型パンクロックといえる音楽ですが、実にオーソドックスで、変にエキセントリックなところなどはありませんでした。奇行や問題発言などの「メディア向けサービス」もありません。ひたすら質の高いロックを提供し続け、評価と人気を上げていったというふうに、僕は考えています。こうしたバンドが高い人気を博しているという事実は、僕のようなロックファンには大きな勇気をくれます。彼らを支持している若いファン達にも強いシンパシーを感じます。世代論もシーンの変遷も関係なく、今も素晴らしい音楽が生まれ続け、それがたくさんの人達の耳に届くことがうれしいです。
 今日は休日だったので、久しぶりに彼らのDVDを観ました。2006年にハイドパークで行われたコンサートを収録したもの(今年の春頃に出たもの)です。コンサート中にデイヴも言っているとおり、ハイドパークは過去最大級の観客が詰めかけ(8万越えているとか)、その人数を観るだけでも壮観です。ステージには巨大なスクリーンがありますが、必要以上の演出はなく、あくまで主役はバンドとその音楽です。実に説得力のある演奏で、パンク的であると同時に王道ロック的でもあり、「最近のバンドはよく知らないなあ」というお父さんお母さんにもお勧めです(まじめに)。この映像作品の中でさかんにデイヴがファンへの感謝を述べていますが、その気持ちに偽りはないでしょう。
 ゲストにモーターヘッドレミー(「Shake Your Blood」)、クィーンのブライアンとロジャー(「Tie Your Mother Down」をまんま演奏しています。これはクィーンファン必見です)が出ていて、野外コンサートらしい大規模なお祭りムードも満点です。実をいうと僕は彼らのコンサートは未見で、こうしたライヴ映像でしか彼らの生演奏は知らないのですが、ロックファンならわかる「ロック的な高揚感」に溢れています。
 活動休止というニュースはちょっと寂しいものですが、人気も評価も高い状態でのオフ突入は、きっと彼らにとって最良の選択だったんでしょう。再始動を楽しみに待っていたい思います。次に来日するときは、僕もぜひコンサートに足を運びたいです。

ライヴ・イン・ハイド・パーク [DVD]

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