リンゴの追加コメントに思う

 先日の日記に書いたリンゴ・スターの「ファンレター送るなサインもしないぞ宣言」事件は大反響だったようで、世界中でファンの憶測を呼びました。そのせいでしょう、リンゴが再度コメントを発表しています(リンゴの公式サイトでは発見できませんでしたが、東京ヒルトンさんのサイトで内容は確認できます。こちらです。)。
 曰く「自分のサイン入りの品物をネットオークションに出す人への警告」であり「本当のファンに向けたものではない」とのこと。おそらくこれは嘘ではないでしょう。よかった。リンゴはやっぱりリンゴでしたね。まあああいう形で声明を出してしまったところはなんだかなあと思わないでもないですが、これで一応この話題は決着がついたことになりそうですね。
 それにしてもこの話しで改めてリンゴのネームバリューを思い知りました。ビートルズのメンバーの中では、最も「話題になることが少なかった」人だと思っていましたが、ちょっと見直しました(変な表現かな)。サインがネットオークションに出されてしまうアーチストは少なくないでしょうが、今回の騒ぎを見ても、彼が別格だということがわかります。
 考えてみたらリンゴは、「元ビートルズ」という肩書きに対して、ずっと割り切れない思いを持っていたのかも知れません。東京ヒルトンさんのサイトで松村雄策さんの文章が引用されていましたが、僕は13年前の(松村さんに説教されたときの)トークライヴで、そのときのことをお話しされているのを聞いたことがあります。コンサート後のホテルのバーでも、共演者だったトッド・ラングレンなどが気さくに話しかけてくるのに対してリンゴはとてもバリアーが強かったらしいです。誰もが知っていて尊敬するビートルズのメンバーであったという過去は、リンゴ個人にとっては、ある意味で「重荷」なのかも知れません。今回の騒ぎは、リンゴがずっと人知れずやってきた「自分との戦い」のストレスが、思わぬ形で出てしまったものだと思うと、切ない気持ちがします。僕はリンゴのファンですから、リンゴにはいつでも幸せでいてほしいと思っていますが、僕の想像など遠く及ばないところに、リンゴの逡巡はあるのでしょう。
 最近のリンゴは音楽活動も順調で、最新作の「Liverpool8」もいい作品でした。オールスター・バンドのツアーも始まるようです。僕はそういうリンゴが好きです。今回の騒ぎが一種の解毒剤になって、リンゴがより充実した日々を過ごせるようになってくれれば、なによりだと思います。