12月8日に「ロスト・ウィークエンド」を手にする

 今日はジョンの命日。数えるともう28年も経ったんですね。毎年書いていますが、あの日のことは今でも鮮明に憶えていますし、これからも忘れないでしょう。
 今日は妻が忘年会で遅く、ドレミを寝かしつけなければいけないので、あんまり長文を書くことが出来ません。なのでちょこっとだけ。
 今日、アマゾンから荷物が届きました。わざわざ今日届くようにしたその荷物は、メイ・パン著「ジョン・レノン ロスト・ウィークエンド」(河出書房刊)。この本は、ファンのみなさんは著者名とタイトルで察しがつくとおり、あの「失われた週末」時期の写真と回想文で構成された本です。ジョンの歴史でこの「失われた週末」期は、ヨーコと別居したジョンが、孤独に耐えかねて、(自分を見失って)飲んだくれていたということになっています。僕もずっとそういうふうに信じていました。この本も、最初に出ることを知ったときは、「暴露本みたいなものじゃないの?」と思っていました。
 ところが、この本で紹介されているジョンは、どうもそうではないようなのです。
 実は、この本をすでに入手していたtaishihoさんが、先日お会いしたときに「あの時期のジョンはとてものびのびしていて仕事も充実していた。そういうジョンの姿が活写された本だよ」と話してくれました。それで、ちゃんと読んでみようと思い、購入してみたんです。なにしろ数時間前に届き、食事やらお風呂やらの合間に眺めているだけなので、文章は読めないんですが、たくさん写真が掲載されていて、これだけでもとんでもないものでした。
 なにしろ写っている人物が普通じゃない。ジョンやメイ・パンはもちろん、ジュリアンもいるし、マル・エヴァンズもいる。ボビー・キーズやジム・ケルトナーもいる。ニルソンもいるし、キース・ムーンもいる。デヴィッド・ボウイミック・ジャガーもいる。そしてリンゴも、ポールとリンダも。本当にたくさんの人達が、ジョンのまわりにいます。Taishihoさんの言葉を借りれば「ジョンがヨーコと離れて暮らしている間に、たくさんの人がジョンに会いに来た。たくさんの仲間がジョンを慕ってやって来た。その中にはポールもいた」ということ。
 特に僕には、この本に掲載されているジョンとポールが2人で写っている写真が胸に迫ります。僕が不勉強なのかもしれませんが、ビートルズ解散後にこの2人が一緒に写った写真を初めて見ました。この1枚だけでも本の代金分の価値がありました。文章もすごそうです。パラッと目を通しただけでも、すごそうだということが窺われます。ああ、早く読みたいな。
 どうも僕たちは、ジョンやヨーコがその後の時期に言い続けた「失われた週末」というイメージのために、この時期のジョンを色眼鏡で見ていたのかも知れません(なにしろジョン本人がそんなこと言っていたわけですからね)。でも実際は、自身のレコードでも「Walls And Bridges」「Rock’n’Roll」があり、ニルソンのレコードをプロデュースし、ボウイのレコーディングに参加し、ムーニーのソロアルバムに曲を提供し、という具合に、ものすごく突っ走っていた時期でもあったわけです。もしかしたら、ジョンはヨーコの手前、「あの時期はひどかったんだよ」と言っていただけなのかも知れません。
もちろんまだこの本を読了したわけではないので断言はできませんが、少なくともこれは、僕が最初に思っていたような「有名人ネタで手っ取り早く稼ぐ内幕本」などではないようです。襟を正して、読んでいきたいと思います。
 ジョンの命日、いつもは少し悲しく切なく厳粛な気持ちでジョンのことを考える僕ですが、今日手にした本の中で我らがジョン・レノンは、溌溂としていて笑顔を絶やさず、力一杯音楽を奏で、たくさんの仲間に囲まれて、人生を楽しんでいるようです。「愛と平和」でもなく、「悲劇の芸術家」でもなく「早世のロックスター」でもなく、最高の笑顔の「僕らの偉大な兄貴」です。こんなジョンを思いながら過ごす12月8日も、いい感じです。
 さあ、明日からこの本を持って出勤だ!
 追記:文章の中でも数回書きましたが、先日のキャロル・キングのコンサート後に一緒に食事をしたときにtaishihoさんから聞かせていただいたお話しが、この本を手に取る大きな動機になりました。この文章でも、そのときのtaishihoさんの分析が大きく影響しています。Taishihoさんありがとうございました。

ジョン・レノン ロスト・ウィークエンド Instamatic Karma

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