スミザリーンズのビートルズ再び

 今日の南関東は20度を超える気温で1日中日差しも強く、春先取りの陽気でした。窓を全開にして部屋の空気を入れ換えたんですが、通り抜ける風が気持ちよかったです。週明けにはまた寒くなるらしいし、まだ2月ですから本当の春はまだちょっと先ですが、ボーナスのようないい陽気の休日で得した気分です。
 2年ほど前に、スミザリーンズのアルバム「Meet The Smithereens」を取り上げました。これはタイトルそのまんま、ビートルズがキャピトルから出した「Meet The Beatles」を完全コピーした作品で、曲順もまったく同じに再現したものでした。最初はなにか批評のようなものがあるのかと思って聴いていましたが、結局そういうものではなく、ただただビートルズが好きで演奏したものなんだと、今は考えています(そのときの日記はこちらです)。
 そして最近、その続編的なアルバムを入手しました。題して「B-Side Of The Beatles」。今回は特定のアルバムをトレースしたものではなく、1曲の例外を除いて「シングルB面に収録された曲」で構成されたものでした。1曲目は「Thank You Girl」なのでそのまんまですが、2曲目が「There’s A Place」なので「?」と思ったら、これはVee-Jayから出た「Twist And Shout」のB面だったとライナーに説明がありました(で、ライナーの別の箇所には「キャピトルからは80年代になるまで出ませんでした」とか書いてあるんですよ。実にオタクなライナー)。基本的には米盤シングルのB面から選曲したもので、だから「I’m Happy Just To Dance With You」や「If I Fell」「I Don’t Want To Spoil The Party」など、オリジナル・シングルとはちょっと違うものが入っています。
 興味深いのはトニー・シェリダンのシングルB面だったという「Cry For A Shadow」なんてものが取り上げられているところ。前作でもちゃんとオタクぶりが理解できたスミザリーンズですが、今回はそのへんのセンス全開でした。ちなみに演奏は前作同様「カヴァーというよりコピー」というもの。ちょこちょこ「完璧コピー」(トッドみたいな感じ)とは違うおおらかさまで前作と通じます。全12曲30分弱という潔さもビートルズオタクらしくて嬉しいです。
 ところでラストの「Some Other Guy」のみシングルB面の曲ではありません。なぜこれが収録されているのかと思ったら、「この曲のエネルギーがスミザリーンズにピッタリだったから」なんて書いてありました(笑)。そういう部分に窺えるように、愛情と敬意に満ちていながらも、全体から感じる「明るさ」が、このアルバムの本質ではないかと思います。前作同様ビートルズファンなら楽しめること請け合いです。ひとつ気になるのは、昨秋出たらしいこのアルバム、国内盤がまだ出ていないらしいのです(僕はアメリカ盤で入手しました)。こんな楽しいアルバム、ぜひ国内盤を出してもらいたいです。ついでにライナーも完全日本語訳をつけれくれたらいうことなしです。関係者のみなさま、ぜひご検討ください。
 さて、今夜はもう1回このアルバム聴いて、幸せな気分で眠りましょうかね、思いがけない「春の1日」の締めくくりに。

B-SIDES THE BEATLES

B-SIDES THE BEATLES

Meet the Smithereens: Tribute to the Beatles

Meet the Smithereens: Tribute to the Beatles

 追記:ライナーをつらつら読んでいたら、なんと「P.S.I Love You」ではゲストとしてあのアンディ・ホワイトがドラムを叩き、グループのドラマーであるデニス・ディッケンはマラカスを振っているそうです!理由は「ビートルズの故事にならって」(意訳)とのこと(爆笑)。でも本当にあのアンディ本人?