今頃アニマルズに感動「Love Is」

 前回の日記で中山康樹氏の著作「ミック・ジャガーは60歳で何を歌ったか」を書きましたが、読んでいたら(当然ですが)そこで紹介されていたアーチストに興味が湧いてきました。ポールやリンゴ、ディランなどはほとんどの作品を持っているので聴き返すという感じなんですが、あまり馴染みのないアーチストもいたので、試しに(安い再発CDがあったので)聴いてみました。今回はたまたま2枚購入したんですが、どちらも大当たり!でした。その2枚とは、エリック・バードン&アニマルズの「Love Is」とディオンの「Dion」。今日はまずアニマルズの方を書きたいと思います。
 「Love Is」はアニマルズのラスト・アルバム(その後再結成しているので、厳密な意味では最後でないですが)、1968年の発表です。
 僕は本当にアニマルズをちゃんと聴いていなくて、有名なシングルくらいしか知らなかったんですが、これには驚きました。エリックのボーカルが素晴らしいのは当然として、バックの演奏も素晴らしく、ボーカルに負けていません。時代的にサイケデリックなテイストは濃いですが、僕の想像を超えて力強く響いていました。同時期のサイケバンド、ガレージ系バンドなどを聴くと、ボーカルが「ミック・ジャガーの模倣」の域を出ていないものが非常に多いんですが、さすがにエリックにはそういうところはありませんでした。
 のっけから「River Deep Mountain High」で飛ばします。中間部では(たぶんアドリブで)「Tina Turner She dosen’t Know what I meen」などつぶやいています。どの曲もクオリティが高いですが、特に「As The Years Go Passing By」での重いリズムとブルースを演奏しながらそこからはみ出てしまうようなセンスは、驚くほどレッド・ツェッペリンに似ています。左チャンネルから聴こえるギターは、まるでジミー・ペイジのよう。このアルバムにはギタリストとしてあのアンディ・サマーズが在籍しているんですが、このギターは彼なのかな?実に迫力があります。このころからテクニカルだったんですね。続く「Gemini」でのエリックのボーカルの迫力も、ロバート・プラントに迫ります、というかだんだん高くなっているロング・トーンなど、ロバートそっくりのところもあります。時系列で考えると明らかにアニマルズの方が先ですから、もしかして、、、?なんて考えてしまいますね。
 何回か聴いていて思ったんですが、このころのアニマルズはもうすっかり「アルバムアーチスト」になっていたということです。上に書いたように僕は彼らの活動には暗いんですが、60年代でこのクオリティというのは凄いんでないかな?イギリスのアーチストがブルースの影響を受けながらもその引力圏から脱したところで鳴っているような名作。ゼップと初期型フロイドの中間にいるような音楽。本当に、アルバム1枚でひとつの作品として評価できるものでした(60年代では、そういうものは相対的に少ない)。
 「朝日のあたる家」ばっかり聴いていて「こういうものだろ」と思いこんでいた自分が恥ずかしいです。いや、真面目な話し、この歳になってアニマルズにこれほど感動するとは思いませんでした。「ミック60歳」を読むと、最近のエリックの活動も素晴らしいとのこと。またもや出費の種イヤイヤ(笑)発見の楽しみが増えました。

Love Is

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