デイヴ・クラーク・ファイヴのCD発見(中古ですが)

 数日前に中古盤屋に行ったところ、「!」というCDを発見して購入しました。「The Early Years」と「Coast To Coast/American Tour」というタイトルの2枚。これ、どちらもあのデイヴ・クラーク・ファイヴのリイシューで、しかも国内盤仕様(プレスはハンガリーですが、国内盤としてのリリースで、小松崎健郎氏のライナーもあります)です。DC5はデイヴ本人が権利を持っていて、リイシューがなかなか進まないということで有名ですが、10年以上前にこんなのが出ていたんですね、恥ずかしながら知りませんでした。
 ライナーによるとドイツのリイシュー専門のレーベル(ライナー本文ではRock-In-Beat Recordsとなっていましたが、「The Early Yeas」はRock-In-Box Recordsとなっていました。プレスはどちらもハンガリー)から出たようです。リリースの詳しい経緯などはどこにも書かれていないので不明ですが、一応オフィシャルなもののようです。小松崎氏のライナーによると、DC5は本国以上にアメリカで人気があり、レコードのリリース状況もアメリカ優先だったとのことで、今回入手した2枚(実際には2イン1だったのでアルバム4枚分+ボートラ)もアメリカ盤の復刻という形をとっているそうです。
 で、実際に聴いてみると、これがなかなかよかったです。厳密にはオルガンやサックスをフィーチャーしたアレンジ全体はちょっと時代を感じさせますが、センスはいいし、楽曲もいいし、聴かせてくれます。ただちょっと曲のバリエーションに乏しく、曲調もいわゆる「60年代ポップス」以上のものではないので、特に60年代後半あたりからシーンでの立ち位置が微妙になっていったというのも頷けてしまう、そういうものでもありました。以前にも書きましたが、「Because」で想像するよりもずっとハードな演奏・歌唱が聴かれるものも多く、アメリカで人気があったというのは、そういう迫力が要因のひとつだったのかも知れません。ライナーによると(すみません、DC5については本当に情報不足で、ライナーに頼らざるを得ないんです)本国では数枚しか出なかったアルバムが、アメリカでは10枚以上出ていたとのことですから、彼らのアメリカ人気は本当に凄まじかったんでしょうね。どうもこのとき、同じように2イン1で、あと2枚リイシューされているようでした。きっともう新品はないでしょうから、がんばって中古盤探さなきゃ。
 ところで最後にちょこっとビートルズ絡みの話題で。「The Early Years」の最後に「Live In The Sky」という曲があります。1968年にリリースされたシングルだそうですが、曲の途中で「All you need is love!」とか「All Together now!」とか叫んでいます。明らかにビートルズから来たフレーズですね(「All Together now」の方はレコードのリリースは1969年ですが、映画の方は68年の夏に公開でしたから、映画を観たんだと思います)。 で、話しはこれだけで終わらない。この曲、ブラスがフィーチャーされているんですが、吹いているのが「リパブリック賛歌」なんですよ。ピンと来た方もいらっしゃると思います。そう、あの「ラトルズ」。モンティ・パイソンのメンバーが作ったビートルズのパロディ・バンドの曲の中で、「All You Need Is Love」をお手本にした「Love Life」の冒頭、「All You Need Is Love」ではフランス国歌が流れるところで演奏されているのが「リパブリック賛歌」なんです。偶然にしては興味深い符合です。もしかしてラトルズのスタッフはDC5を聴いて、「Love Life」のアレンジを決めたのかな?なんて考えると面白いですね。

 追記:これまたライナーから得た情報ですが、DC5は活動の初期から自分たちの原盤権その他の権利を自分たちで保有し、それをリースする形で利益を得ていたんだそうです。なるほど、やっぱりね。60年代初め頃でそのような契約ができたというのは驚異的ですね。「レディ・ステディ・ゴー」の権利もまるごと買っていたというし。現在は英国ショービズ界の重鎮だというデイヴ、ビジネスマンとしての才能がずば抜けていたんでしょうね。