ウッドストックの長い道のり（笑）

　前回に続いてウッドストックの話題ですがちょこっと。
　結局購入しました。CD6枚組。輸入盤です。写真集入りで、解説（英文なのでまだ斜め読み）と完全セットリストが掲載されています（セットリストはレココレにも掲載されていたので購入バリューはないですが）。写真がなかなかよくて、現場の様子が鮮明にわかるものも多いし、写っているアーチストがみんな雰囲気を持っていてカッコイイし、いいものです。ザ・フーの写真はピート以外の3人が写ったもので「？」と思ったら、ピートだけは別のページに写真が載っていました。別格か（笑）。アビー・ホフマン事件についての文章もありました（その模様も今回の6枚組には収録されているようです）。
　で、今回この6枚組を購入し、聴き始めているんですが、聴くに際して自分で自分にルールを課しました。「CD1枚目からスキップせずにきちんと聴く」です。なんだかんだいって最近は仕事に家事に育児に時間を取られ、音楽を「膝を揃えて襟を正して」聴くことが難しいんですよ。購入したものは必ず聴きますが、たいていは部屋に流しておくとかiPodに入れて通勤やウォーキング時に聴くとか、なかなか落ち着いて聴けないのです。ウッドストックに関しては、10数年前に出た4枚組（6枚組ではなぜかオミットされているザ・バンドが収録されているもの。その他ここで初出のアーチストや楽曲多し）は飛ばし聴きをしてしまったために、今でも全体像が掴めていないざまです。
　たくさんのアーチストがいて、収録時間も長いと、どうしても自分の好きなアーチスト主体に聴いてしまうんですが、そうするとそこに止まってしまってちゃんと作品（この場合はフェス全体の模様）を把握できないままになってしまいます。なので今回は、最初からちゃんと聴こうと決めたわけです。幸いこのボックスはフェスの初日から順番に収録されているので、追体験としてもピッタリです。
　で、聴いているんですが、なかなか興味深いものです。音は全体に良くなっていて聴きやすいです。歓声や会場ノイズは、演奏に被るものは控えめ、被らないMCなどはクリアで大きめの音になっていて、ゆっくりきれいに発音しているので英語聞き取り勉強に使えるかも知れませんね（笑）。迷い人放送では、会場にいる恋人に「結婚して」とプロポーズをしている人までいました（もちろん聴いた観衆は大喝采）。けっこう驚いたのは演奏の感触がこれまで聴いていたものと違うこと。もちろんこれはリマスターしたので音そのものが変わったということなんでしょうが、カントリー・ジョー・マクドナルドの例の「F・U・C・K」コールや観客の大合唱は既発盤よりも控えめな感じで（たぶん演奏と被るので調整したんでしょう）、そのせいで印象が変わっています。
　アーロ・ガスリーの「Coming Into Los Angeles」は歌い出しのボーカルがオフになっていて今までのテイクと全然違っていました。これは本当に驚き。調べてみたら、今まで聴けたテイクの方がニセモノ（ウッドストックの録音ではない）らしいので、今回のものが（そのラフさを根拠に）真性なんだと思います。メラニーは想像以上にラフな歌い方。僕には未知のアーチストだったスィートウォーターやクィールなどは実に時代を感じさせる内容で、これはこれでよかったです。ジョン・セバスチャンは今までのようなバラバラ収録ではなくてまとまってくれたので鑑賞上は嬉しいですね（でも既発盤の、静かな「I Had A Dream」1曲での出発もいいですが。「フェスの現場を再現する」という趣旨の6枚組に比べて、「アルバムとしての完成度」を目指した（と僕が思っている）既発盤は、曲順や会場ノイズの洗濯や配置にも、「追体験」というよりも「コンセプト」を重視した感じがします）。
　とまあ、こんな具合に聴いています。これはこれで楽しい。いや、本来はこうやって聴くのが正しいのでしょうね。いろいろ発見も多いし、勉強になります。それはそれなんですが、やっぱり長い！実は上に書いたあたりでやっとディスク2が終わったくらい。だからまだジャニスもデッドもフーもスライもCCRもジェファーソンもCSN&Yもジミ・ヘンドリックスも聴けていません。ジョーン・バエズもサンタナもラヴィ・シャンカール先生も聴けたんですが、ウッドストックの本当の醍醐味はまだまだ先です。ふう。まだこれから4枚もあるのかイヤイヤ、まだ4枚も聴けるなんて幸せ（笑）。時間が自由だったら1日聴きっぱなしもできるんですけどね（学生時代はよくやっていたなあ）。でも真面目な話し、有意義な時間でもあります。音楽ファンにとってウッドストックは、やっぱり桃源郷です。
　でも気になるなあ、フーはどんな演奏しているんだろう（笑）？明日こそそこまで行けるでしょうか（笑）？

ウッドストック~40周年記念ボックスセット