ウッドストック続編 なんでザ・フーを切っちゃうの？

　ずっと聴いているウッドストック、なんとかDisc5まで来ました（今日も仕事だったので往き帰り中心に聴くに止まりました）。ディスク3で予想以上によかったのはキャンド・ヒート、「Woodstock Boogie」は30分近くのジャムでヘヴィな演奏でした。グレイトフル・デッドは冗長の代名詞みたいにいわれる事が多いですが、こうして他のアーチストと並べて聴くと風格というか貫禄というか、やっぱり違いますね。CCRも引き締まったいい演奏。「I Put A Spell On You」のシャウトがいい気持ち。
　4枚目はジャニス〜スライ〜フー〜ジェファーソンと、ある意味このボックス（いや、フェス全体でも）のハイライトのようでした。ディスクの最後にはあのマックス・ヤスガー氏のスピーチ。ディスク5では雨が降り出します。MCもなにもない状態でただ強い風が吹いている様子は、過剰な演出がない分緊張感が増しています。続いてのカントリー・ジョー＆ザ・フィッシュの「Rock & Soul Music」は、サントラでは途中から（一瞬オーディエンスの声を挟んで）アーロ・ガスリーに続くという構成でしたが、ここでは完奏バージョンです。これもいいですが、サントラの編集もそれはそれでよくできたものだと感じてしまいました。
　という具合に、残りはあと1枚。ここまで聴いて、もちろん大満足ではあります。音が良くなって時系列での収録になったことで臨場感が増しています（前回も書きましたが、会場ノイズや歓声はむしろレベルが抑えられています）。
　しかし！今回の本題はそこではありません。我らがザ・フーです。フーの演奏は今回（アビー・ホフマンVSピート・タウンゼントという、ステージ上での有名なやりとりを除くと）合計3曲「Amazing Journey」「Pinball Wizard」「We’re Not Gonna Take It」（の完全版）です。このうち「Amazing 〜」が完全未発表、「Pinball〜」はフーの「The Kids Are Alright」で初出、「〜Take It」は前半部分が未発表というラインナップです。問題は「Amazing〜」です。
　演奏自体は上々のものです。ロジャーの声も伸びているし、ベストテイクといっていいでしょう。で、曲は佳境に進み、そのまま（スタジオテイクや「Live At Leeds」と同じく）アドリブパートを挟んで「Sparks」になだれ込みます。演奏が理上がり盛り上がり、いよいよあの「Sparks」テーマのアルペジオが聞こえてきた、その瞬間……。曲がフェイドアウトするのです（泣笑）。
　もちろんクレジットは「Amazing Journey」となっていますので、なにも間違っていないし騙してもいない。それはわかります。でもでも、この盛り上がった気分を一体どうしてくれる（笑）！？それくらい見事（？）に、聴き手の気持ちをズッコケさせてくれるような絶妙なところで曲が終わってしまいます。実はこの切られてしまった「Sparks」部分は、フーの「The Kids Are Alright」で聴くことが出来るのです。「Woodstack 40」で聞こえなくなるあたりからフェイドインしてきて（笑）、そのまま最後まで聴くことが出来ます。つまりちゃんと音源はあるわけです。だったらちゃんと収録してよ！ものすごくいい演奏なんだから、ケチることないでしょう！？
　ウッドストックでのフーは、上記のように「We’re Not Gonna Take It」は（このボックスまで）後半部分のみの収録でしたし、映画に収録されていた「Summertime Blues」はCDにもLPにも未収録だし、なんだかちょっと冷遇されています。まさか当日「現金でギャラもらえなかったら出演しない」と交渉して、銀行が休みだったのにキャッシュ運ばせたのを制作側が根に持ってこんなことされているんでしょうか？本当に残念でもったいないです。40周年にあたってウッドストックはリリースラッシュですが、先日の日記に書いたようにいくつかのアーチストはステージ全曲を網羅したCDなどを発表しています。フーもそういうものを出してくれないかな？この時期のライヴはすでに完全版に近いものが2種類出ていますが、ウッドストックは別格でしょう。関係者のみなさまには（過去の金銭的遺恨を越えてw）ぜひご検討してもらいたいと思います。
　ところで上記の「Sparks」ですが、前半は「Woodstock 40」に、後半は「The Kids Are Alright」に収録されていて、フェイドアウト〜フェイドインにあたる部分は映画「The Kids Are Alright」にライヴ映像として収録されています。この３つの音源を駆使して編集すると、「完全版メドレー」が出来上がるはずです。やってみようかなあ？でもあんまりそういう編集やったことないし、やったら法に触れるのかなあ？うーん、やっぱり完全版の公式発表を待つしかないのかな？今度はやっぱり「50周年」か？うーん、それまで生きているかなあ（笑）？

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