秋、香らない金木犀、そしてポール。

 香らないですね。いや、うちのまわりの金木犀の話題ですが。もう今日から10月だし、もうあの香りが漂ってきてもおかしくないはずですが、一向に。いつもいつも季節の移り変わりにビビッドなわけではないですが、金木犀のあの印象的な香りはいやでも気づくわけで、僕にとっては1年の重要なランドマークです。もうずっと昔になりますが、東京のずっと西の方にある大学に通う大学生だったころは、標高の関係で(笑)、9月の中旬過ぎにはキャンパスのあちこちであの香りがしていて、「ああ、秋が始まったんだなあ」と実感したものです。
 今日の南関東は昼間は晴れてくれて気持ちよかったですが、もう空も高くなり、雲も風もすっかり秋でした。実際にはそれなりに気温も上がったし日差しも強かったんですが、明らかに違いましたね。僕は寒くなるとすぐに気管支を傷めてしまうし、体調という意味ではあまりいいことはないんですが、この時期の空気は大好きです。
 で、今ですが、外では雨が降っています。気温も下がってきました。これを書きながら部屋の窓を全開にしていますが、流れていく空気は湿っていて少し冷ややかです。
 今聴いているのはポール・マッカートニーの「Chaos And Creation In The Backyard」。このアルバム、ずいぶん久しぶりに思い立って聴きましたが、なんだかリリースされてすぐに聴いたときよりも価値が理解できるようになってきました。買った直後にも「いい!」と思ったアルバムですが、今のほうが心に沁みるようです。ポールのアルバムは基本的にどれもいいものだし、特に「Chaos」は評価の高いものですが、90年代以後のアルバムはなかなか「末永く話題になる」ことが少ないですよね。ポール聴こうと思って反射的に手に取るのはもっと昔のもの(僕の場合は「Tug Of War」や「London Town」「Wild life」、今頃の季節だと「Pipes OF Peace」が多いです)が多くて。僕だけかな?
 でも今こうして聴いていると、一見地味で落ち着いた表情の中に、底知れないものを(ちゃんと)感じます。ポールのファンならわかるでしょう、あの「奥深さ」。どんなに耳当たりが良くても、決して聴き流せない、あの感じ。僕は「Anyway」という曲が、初めて聴いたときから大好きなんですが、それ以外の曲も輝いていて、そして奥深いです。ちょうど今日のような気候・気温にぴったりです。
 実は僕は、先週の連休が終わってからずっと休日無しで今日まで仕事をしていました。ものすごく激務だったわけでもないですが、やっぱりけっこう疲れています。でも明日はシフト休で、久しぶりに1日オフです(土曜日も休みだけれど、こっちはドレミの運動会です。実行委員やってるので早朝から出動ですトホホ)。疲れていて眠いけれど、もうちょっと起きていたい、そんな秋の夜に、ポールのあの「奥深い美しさ」は、本当にいい伴走者です。
 関東は明日も雨らしいです。明日は香るかな、金木犀

Chaos & Creation in the Backyard (Bonus Dvd)

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